[AFC U-16選手権]準決勝の相手は“北朝鮮が避けた”最強イラク。00ジャパンの底力が試される
ゲキサカ / 2016年9月29日 10時10分
日本時間9月29日19時30分、U-16日本代表はアジアの準決勝に臨む。AFC U-16選手権の4強決戦でぶつかる相手は、中東の雄・イラク。力的には「これまでの相手とはまるで違う」(森山佳郎監督)力を持った大会最強クラスのチームだ。グループステージでは韓国を破っており、北朝鮮はこのタレント豊富なイラクとの対戦を避けるために2位狙いをしたほどの難敵。「全体にフィジカルが強く、強烈な個がいる」(森山監督)相手に、“00ジャパン”の底力が問われる戦いとなりそうだ。
28日の前日練習ではそのイラクを想定しながら戦術的なニュアンスをチームに落とし込む作業がメインとなった。「DFとGKの間にアバウトなボールを入れてくる。迷ったらやられるぞ」(森山監督)といった具体的なプレーを出しながら、選手の注意を喚起。その上で「究極の切り替えをやり切れ!」と相手が得意とするカウンターに対しては、攻守の切り替えスピードで対抗していく意識を植え付けた。
フォーメーション練習、紅白戦で先発組に入ったのは、ディフェンスラインが菊地健太(JFAアカデミー福島U18)、瀬古歩夢(C大阪U-18)、菅原由勢(名古屋U18)、喜田陽(C大阪U-18)という準々決勝と同じセット。ボランチも福岡慎平(京都U-18)と平川怜(FC東京U-18)のコンビで変わらず、両翼のMFに左は谷本駿介、右は鈴木冬一(共にC大阪U-18)が入った。そして前線は宮代大聖(川崎F U-18)と山田寛人(C大阪U-18)が2トップを組んだ。準々決勝で負傷していたFW久保建英(FC東京U-18)もこの日から練習に復帰し、フルメニューをこなした。
「(引いて守った)UAEと違ってイラクはもっとボールにガツガツ来るスタイル。球際で戦ってくるし、カウンターの迫力は(UAEより)ワンランク上」(森山監督)という相手に対して、「もっとボールを落ち着かせたい」というとこで左MFにボランチもこなす谷本を配置した。動いてボールを引き出すプレーに秀でる選手で、これまで左MFでの出場が多かった中村敬斗(三菱養和SCユース)がストライカータイプだったのに対し、よりMF的な選手である。
選手もその狙いは理解しており、DF瀬古は「相手が食い付いてくるので、両CBから対角線のパスを入れていくイメージを持っている」と語り、谷本は「動いてボールを受けて起点になることを意識したい」と言う。あとは「本当に今までにないくらいの強さがある相手」(MF鈴木)に対して、球際の部分でどのくらい戦えるか。「ポジショニングや予測で補うことは重要だけれど、絶対に競り合いの場面が出てくるのがサッカー」(森山監督)。球際の攻防はこの1年半にわたってこだわってきた部分でもあり、世界大会に向けたシミュレーションとしても、球際のバトルに長じるイラクとの戦いは試金石となる。
準々決勝が終わり、一度達成感を得た状態からもう一度気持ちの部分を高めていくのは簡単ではない。フィジカルコンディションという意味でも、負傷者の続発に象徴されるように、連戦の中で徐々に落ちているのは否めない。さらにピッチ状態も「雨が降る中の連戦で、いい感じにボロボロのデコボコになってきている」(森山監督)。
今大会で恐らく最強と見込まれる敵を前にして、チームはベストの状態ではない。だが、どんな状態であっても、ピッチに立てば出せる限界まで出し切るのが“00ジャパン”のモットーだ。「今はみんなでアジアを獲るのが目標」(鈴木)である。難敵イラクを倒し、U-16日本代表はアジア制覇へと突き進む。
(取材・文 川端暁彦)▼関連リンク
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