川口、楢崎…偉大な先輩GKに改めて思い馳せる川島「先人に学ぶ」
ゲキサカ / 2016年10月3日 23時31分
所属クラブで出場機会に恵まれない欧州組が多い中、最も厳しい状況にいるのはこの男かもしれない。今季からメス(フランス)に加入した日本代表GK川島永嗣はチーム内では第3GKの立場。リーグ1は開幕から8試合連続でメンバー外となっている。
「メンバーになかなか入れず、自分にとって難しい状況ではあるけど、この状況を分かって契約している。ヨーロッパの中でも大きいリーグでのチャレンジ。その中で日本人キーパーとしてどこまでやれるのか。1日1日、突き詰めていきたい」
自身の置かれた現状をそう語る川島だが、クラブで出場はおろか、ベンチ入りも果たせずにいる選手が日本代表に入るのは異例とも言える。ハリルホジッチ監督は9月29日のメンバー発表会見で「彼がプレーするかどうかは別問題」としたうえで、「第3のキーパーを“メンタルプレイヤー”として扱うことはどの国でもある。メンタルプレイヤーを入れて、チームを本当の底から押し上げる。永嗣にその役割を担ってほしい」と、選考理由を説明した。
実際に試合でゴールを守ることはなくても、グラウンド外のベンチやロッカールーム、あるいは宿舎でチームを盛り立てる精神的支柱としての役割。「発言力もあるし、チームに良いスピリットをもたらすことができるのではないか。リーダーの一人で、経験もある。厳しい戦いで、彼の存在感が必要になってくる」と指揮官は期待を寄せている。
川島ら欧州組7人はこの日の練習から合流。全体練習が始まる前にはハリルホジッチ監督と川島が通訳を介さず、話し込む姿もあった。「(監督との会話は)監督との間のこと。どういうことを話したかは言えないけど、呼ばれたことに関してはメッセージをもらっているし、それを受けて、このキャンプからしっかりやっていきたい」と、自分の役目を果たすつもりだ。
指揮官の言う「メンタルプレイヤー」として「特別に意識することはない」と話すが、イメージにあるのは2人の先輩GKだ。川島が正GKを務めた10年南アフリカW杯では、GK川口能活(相模原)が第3GKとしてサプライズ選出された。当時、守護神の座を争っていたGK楢崎正剛(名古屋)とともに、今でも2人から学ぶことがあると感じている。
「(川口)能活さん、ナラさん(楢崎)と、日本代表の偉大な先輩たちを見てきて、自分自身、今でも彼らに追いつきたいと思っている。一緒にやらせてもらっているときも学ぶことは多かったし、自分が今こういう立場に立って、改めて2人の経験の大きさを感じることもある。今、自分自身がチームを見て、新しくできることがあるかもしれないし、先人に学んで、自分自身もやっていきたい」
まさかの黒星スタートとなったW杯アジア最終予選。その場にいなかった川島は「結果を見たときは自分自身もショックだった」と率直に語る。だからこそ、このタイミングで代表に復帰した自分にしかできないこともあるはずだ。「今、大切なのはチーム全体、一人ひとりが自信を持って戦うこと。一人ひとりの輝きを取り戻して戦うことが一番。もう一度、チーム全体がイキイキとプレーできるように押し上げていきたい」と誓った。
(取材・文 西山紘平)
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