福岡の規格外ジャイアント・冨安健洋が世界切符へのカギを握る
ゲキサカ / 2016年10月12日 11時29分
磐田との練習試合、1本目の内容についてU-19日本代表の内山篤監督は「もっと大胆さが必要だった」と語っているが、それを2本目に体現したのが冨安健洋(福岡)だった。1本目のCBからボランチへポジションを移し、キャプテンマークも預かる中で大胆不敵にボールを持って中央を持ち上がる。開始6分、相手の虚を突いたドリブルからの左足でのミドルシュートが見事にゴールネットを揺らした。
「ミドルシュートはアビスパでもずっと練習してきていたし、監督からも(ミドルを)打っていけと言われていた。久々のゴールだったので、ちょっと嬉しかった」
旅立ち前の景気付けになるような一発を叩き込んだ大男は、そう言って笑顔を浮かべた。利き足とは逆の左でのシュートだったが、「ずっと練習していたので」と事も無げ。確かに日本クラブユース選手権などユース時代も鮮烈な一撃を決めてきた選手である。もっとも、「バーレーンでの本番に取っておいてほしかったよ」と水を向けると、「それは僕もちょっと思いました」と応えて取材陣の笑いを誘った。
単に豪快なシュートを決めたというだけではない。前半はCBとして奮闘。「(中山)雄太と冨安が組むと最終ラインが安定する」と指揮官が評価したように、冷静沈着な中山とパワフルさを備える冨安のコンビは終始安定。特に序盤は全体に「バタつく内容だった」(内山監督)中で、磐田の攻めをよくしのぎ続けた。ビルドアップでも中山との関係性はスムーズ。共に中盤でもプレーできる器用さを持つ二人であることに加えて、「(中山とのコンビは)かなりやりやすい」(冨安)という、あうんの呼吸のようなものも出来上がっている。
今季途中からはJ1リーグで試合出場を重ねるようになり、プレーからは今年序盤には感じられなかった自信も感じられる。もっとも、本人は「実感はそんなにないですね。謙虚でいたい」と言って、むしろ慢心を戒めるような言葉を紡いだ。
「(AFC U-19選手権に向けて)いよいよという感じはしています。大会までいい準備をして、みんなとたくさんサッカーの話をして、試合に備えたい」
ついにブレイクスルーのときを迎えつつある、福岡の規格外ジャイアント・冨安健洋。もはやU-19日本代表のキープレーヤーと言ってしまっていいだろう。10年ぶりの出場を果たすために、この男のさらなる奮起は欠かせない。ぜひバーレーンでも持ち前の“一発”を見せてもらいたい。
(取材・文 川端暁彦)▼関連リンク
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