総理杯で2年連続の前十字靭帯損傷…明治大FW木戸皓貴は静かに再起を誓う
ゲキサカ / 2016年10月16日 22時47分
9月14日に手術を受け、約2週間ほど入院。病院のベッドでは試合結果を追った。「サッカーはしたいけどできないので、去年同様にしっかりチームに貢献しようと」。グラウンドには行けなくても、明治の一員としてともに戦うべく病床から応援した。
そして10月15日の雲ひとつない空の下、明治大の優勝がかかった慶應義塾大戦が行われた。「独りになると色々なことを考えてしまうんですが、こうやって試合を見にきたり、練習している姿をみると元気をもらえたり、やる気も出るんです」。木戸はスタンドで声を張って応援した。
チームは前半15分にセットプレーから失点も、同28分に同点弾を奪うと、終了間際の45分に逆転に成功。後半もそのまましのぎ、2-1で勝利した。そして6年ぶり4度目のリーグ制覇。試合後には部員全員で歓喜に沸いた。スタンドの最前列に立った木戸は笑顔を弾けさせていた。
仲間の戦いを見届けたFWは「素直に嬉しかったです。サッカー人生で二冠を取ったことがないので。嬉しかった。大臣杯くらいから逆転とかの勝負強さが身についていると信じていたし、後期に入って逆転の試合もあったので、先制されても焦る感じではなかったですね」と微笑む。
これからも孤独なリハビリは続いていく。それでも木戸はひとりじゃない。明治大の仲間たちがグラウンドで10番の帰りを待っている。過去に大怪我を負い、鮮やかな復活劇をみせてくれたストライカー。きっと今度もよりたくましくなって、ピッチへ戻ってくると誰もが信じている。
木戸は言う。「ぶれずに自分の将来から逆算して、しっかり自分の道を進んで。時にはチームメイトに元気をもらいながら、それを来年恩返しできるように……。強くなって帰ってこないといけないです。それが使命だと思っているので」。
復帰目標は来年の5月頃。現在大学3年生の木戸にとって、来季は大学ラストイヤーとなる。「大学生活でこの怪我を二回経験する人なんて、そんなにいないし。絶対にいい経験になれるように、この経験が無駄にならないように。万全の状態で復帰して、最後に4年生として結果を残して、この先ずっとサッカーができるように。この期間を無駄にしないように頑張りたい」と静かに誓った。
今季の明治大のスローガンは『一心』。どんなときも仲間たちと心はひとつ。辛く長いリハビリとなるが、きっとその先には再び紫紺の10番を身にまとい、ピッチを駆ける日がやってくる。二度の苦しみを乗り越えた先に。仲間たちと見る最高の景色が待っているはずだ。
(取材・文 片岡涼)
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