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小川航基復調の舞台裏。監督と1対1で話して取り戻した感覚と、エースの決定力

ゲキサカ / 2016年10月25日 7時20分

後半28分、U-19日本代表FW小川航基が直接FKを決める

[10.24 AFC U-19選手権準々決勝 日本 4-0 タジキスタン]

「監督にはすごく、怒られたんです」

 U-19日本代表FW小川航基(磐田)は、2得点を挙げて勝利の立役者となった準々決勝・タジキスタン戦後、そう言って苦笑いを浮かべた。怒られたのは、0-0で終わり、小川のシュートも皆無だったイラン戦の後のことだという。「ゴールを逆算した中での動きにちょっと問題があった。彼自身には個人的に話もしたし、アプローチもした」と内山篤監督は振り返る。

「映像を観ながら1対1で付きっきりで話してもらった」(小川)という内容は、要約すれば「ゴールを取るための動きじゃなくなっているぞ」ということ。「『ボールを受けたがるだけの動きや、ゴールから離れる動きばかりになっている』と言われました。自分の意見もありましたけれど、謙虚に話を聞けたことは良かったと思います」と当時を振り返る。

 内山監督の哲学は「FWにはFWの役割がある」というもの。ポリバレントな選手の必要性が叫ばれる中で、育成年代でもFWに多様な仕事を求める傾向は強まっている。ただ、内山監督は「FWの仕事」にこだわって指導してきた。「中盤の低い位置まで下がってボールを受けたりすると、『それはボランチの仕事だ』と怒られます」と小川が言うように、FWがFWであることにこだわるのが内山監督のスタイルである。

「ちゃんと(動き方が)整理されたのがカタール戦であり、今日のゲーム(タジキスタン戦)」と指揮官が言うように、ボールを受けたがる動きではなく、一瞬の隙を狙い続ける動き出しを繰り返したことがクロスに合わせた先制点に繋がった。元よりチャンスで決める決定力は持っている男である。シュートを打つところまで持って行ければ、結果も付いてくる。

 そして勝負を決めた28分の3点目となるFKは、「実はずっと磐田で練習していました。先輩たちに『ちょっと俺にも蹴らせて下さい』と言って、やらせてもらっていた」というもので、「イメージどおりの弾道でした」と言う。このU-19代表のキッカーというわけではなかったのだが、大一番で見事に突き刺してみせた。「エースとしてのゴールで、あの1点は大きかった」とDF中山雄太(柏)が称賛した一撃で、試合はほぼ決まった。

「イラン戦はいい経験になった」と総括した小川。エースの復調は、そのままチームの復活にも繋がり、勝てば世界切符という大一番で結実した。試合前、「こういう試合は決めるべきときに決められるかどうか」と言っていたのは前回大会の敗戦を知る坂井大将(大分)だが、今回はまさに決めるべきときに決めるべき人が決めて、力強く勝利をたぐり寄せた。

(取材・文 川端暁彦)▼関連リンク
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