[MOM1935]鵬学園GK的場大輝(1年)_「試合中、ずっと『頼む』『頼む』と呟いていて…」絶対王者の圧力跳ね除け完封V!
ゲキサカ / 2016年11月5日 22時23分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.5 全国高校選手権石川県予選決勝 星稜高 0-1 鵬学園高 西部緑地公園陸上競技場]
「(失点しないように)試合中も、ずっと『頼む』『頼む』と呟いていて。怖くて、怖くて……」。鵬学園高の1年生GK的場大輝はプレッシャーに飲み込まれそうになっていたという。何せ、目の前で自分の守るゴールに迫ってきているのは4年連続で全国大会4強以上、県予選では17連覇中の王者・星稜高だ。夏過ぎから先発を獲得したばかりの1年生守護神にとって3000人の観衆の中で「デカイし、速いし……」という王者相手に1点を守る仕事は困難だったに違いない。
だが、試合後に冒頭の言葉を発するまでは、むしろ“図太いGK”かのように映っていた。堂々とした姿勢を貫き、前半、相手が猛攻を繰り広げていた試合終盤になってもキャッチするたびに、ボールを腹部の前から背中を通して一周させる行為を繰り返していた。どこか余裕があるように見える動きだったが、「全然。緊張していたので。あれは自分の中のルーティーンで、平常心保てるんです」。ヘディングシュートで頭上を越されるシーンや、PAに飛び込んできた相手アタッカーにかわされ、味方の好守に助けられるシーンもあった。だが、ルーティーンが功を奏したか、的場はそれ以上にあったピンチを阻止。緊張の決勝で最後まで好守を見せて星稜の連覇を止める立て役者となった。
1-0の前半40分にはクロスに対して思い切り飛び出してパンチ。こぼれ球をループシュートで狙われたが、懸命に背走してワンハンドにゴールの外へかき出した。また後半6分にはアーリークロスで相手エースのFW窪田翔に抜け出されたが、距離を詰めてセーブ。その後も窪田の決定的なヘッドを落ち着いて処理するなど得点を許さない。終盤に見せたのは「苦手意識があった」というDF背後のボールへの好対応。36分、39分と立て続けにMF木出雄斗にDFの背後を突かれたが、決意の飛び出しでコースを遮った的場がいずれも止めて星稜の声援をため息に変えた。そして試合終了の笛。星稜撃破を「すんごい、嬉しいですね!」と最高の笑顔で喜んだ1年生守護神について、赤地信彦監督も「やってくれましたね。お祭り男が」と微笑んでいた。
対戦した星稜のGK高橋謙太郎主将は憧れの存在なのだという。「尊敬していてキックも上手いし、声も出せるし、安定している」。そのGKを相手に持ち味のセービングなど発揮して勝利。高橋に「(好セーブを連発されて)相手のGK(的場)が乗っちゃいましたね」と言わしめた。憧れの存在に勝って決めた全国。「(選手権は)憧れていた。1年生で出させてもらっているのがありがたい。(全国の目標は)もちろん優勝です」。ポジション争いも全国までまた競争がスタート。星稜撃破の自信を胸にプレー、精神面でも成長を遂げて全国でもゴールを守り、チームに勝利をもたらす。
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
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