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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:原点(Honda FC・古橋達弥)

ゲキサカ / 2016年11月10日 15時40分

 後半6分に追い付かれた後も、Honda FCはスタイルを貫きつつ、チャンスも創出した中でなかなか勝ち越しゴールは奪えない。「シンドい部分はありましたよ。足も最後は攣っちゃっていましたし」と苦笑する古橋がベンチに退いた4分後に逆転ゴールを喫すると、終盤に栗本広輝が蹴ったFKもポストを叩き、ビハインドを跳ね返すまでには至らず。今回の天皇杯を席巻したHonda FCの快進撃は、4回戦で幕を下ろすこととなった。

 Honda FCはFC東京と13年前にも天皇杯で対戦したことがある。舞台はこの日と同じ味スタ。2度のビハインドを2度とも追い付いたものの、最後はPK戦でFC東京が次のラウンドへと進出したが、その試合で10番を背負ってゴールを決めたのが古橋であり、当時のHonda FCを率いていたのは、この日のFC東京のベンチに入った安間貴義コーチだった。古橋に安間コーチとの対戦について尋ねると、「不思議ですよね。プレーヤーとしても一緒にやっていますし、凄く良い人なんですよ。でも、安間さんにまだまだプレーできるということを見せたかったというのはありますね」と話しつつ、「試合後には『相変わらず上手いな』とか『オマエが替わってくれて助かったよ』みたいなことを言われました」と笑顔で続ける。13年前に味スタのピッチに立っていた選手は古橋と、その古橋と交替で入ってきた柴田潤一郎の2人だけ。「もう相当前のことなので、当時とは全てが違うんですけど、その時のことは思い出しましたね。やはり感慨はありました」と古橋。それが冒頭の「自分を褒めてあげたいですね」というフレーズに繋がってくる。13年の時を経て、同じHonda FCのユニフォームを纏った36歳が、同じFC東京と、同じ天皇杯という舞台で再会する。安間コーチの存在も相まって、不思議な縁を感じずにはいられない。

「地元ということもありますし、友達とかも見に来てくれたりするので、やりがいはそういう所に感じています」という古橋には、もう1つ現役を続けているモチベーションがある。「『やめようかな』と思う時もありますけど(笑)、こうやって試合に出て、活躍できた時や良いプレーできた時があると、『まだ続けようかな』とか、そういう感じになりますよね」。結局サッカーが好きなのだ。30代も半ばを過ぎた今でも、まだ自分が上手くなると確信しているからこそ、大好きなサッカーを続けているのだろう。日曜日にはリーグ最終戦が待っている。勝利を収めればステージ優勝を勝ち獲ることになり、同時にチャンピオンシップへの出場権も手にすることができる。古橋達弥。36歳。「いつまでサッカーを続けるかはわからないですけど、そう長くはないと思うので(笑)、自分のサッカー人生というのを楽しんでプレーできるようにしたいと思います」と語る、アラフォーに差し掛かったフットボーラーは、それでも明日も明後日も、そしてその先もきっとボールを蹴り続けているに違いない。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務し、Jリーグ中継を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」

▼関連リンク
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史
●第96回天皇杯特設ページ

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