[選手権予選]山梨の制空モンスター加藤が全国導く、豪快ヘッドで4戦連発
ゲキサカ / 2016年11月12日 22時43分
[11.12 全国高校選手権山梨県予選決勝 韮崎高 0-1 山梨学院高 中銀スタ]
ごつい上半身と丸坊主で存在感を放つ大型FWは、高く跳び上がるとさらに目立つ。他を寄せ付けないヘディングの強さは、チームの明確な武器となっている。第95回全国高校サッカー選手権の山梨県大会決勝は、山梨学院高が1-0で韮崎高を破り、2年ぶり5度目の全国大会出場を決めた。
前半20分に右CKをヘディングでたたきつけてゴールを奪ったのは、U-16日本代表経験者の2年生FW加藤拓己だった。飛び上がった上半身で相手を抑え込むようなヘディングでたたきつけたボールは、左ポストに当たってネットを揺らした。加藤は「相手の3番の選手は、ヘディングに自信があるタイプだと思った。だから、試合の前から、相手がもうヘディングで競り合いたくないと思うくらいに勝ってやろうと思っていた。自信を持って、しっかりと行けた」と鼻息荒く、ゴールを振り返った。
アマチュア野球の住友金属でプレーしていた父の秀人さん、バドミントンでインターハイの上位入賞の経験を持つ母の弘子さんから受け継いだ運動能力と恵まれた体躯を誇る加藤は、コンタクトプレーに強い。その上、鹿島アントラーズつくばジュニアユース時代に、かつてヘディングの強さと上手さで日本代表入りを果たしたFW長谷川祥之コーチにヘディングでそらす技術や相手のマークの外し方をたたき込まれており、制空権争いには絶対的な自信を持っている。試合は、後半に入ってから圧力を増した韮崎にペースを握られる展開になったが、山梨学院にとっては、前に蹴れば加藤が競り勝つため、相手のポジションを下げられるという利点が大きく、1点のリードを生かして逃げ切った。
加藤は、県予選4試合すべてでゴールを決めたが、満足はしていない。「昨年、(卒業して松本山雅に入団した先輩の)前田大然が全試合ゴールをやっている。同じ9番を背負う以上、比較される。学年は関係なく、やらなければいけないという気持ちが強かった」と先輩に並んだだけと言いたげな表情で話した。言葉は挑戦的だが、同じヘアスタイルにしているのは、前田へのリスペクトでもある。自分自身に課題を与え、鼓舞して、乗り越える。相手の3番に対する挑戦もまた然り。やってみろと自分で自分を叱咤するタイプで、次から次へと自分自身で新たな課題を投げかける。
山梨学院大への進学は、加藤にとっては「修行」だという。鹿島ユースへの昇格を見送られた苦い経験も、成長の糧でしかない。「ユースに昇格した奴らとの約束は、3年後に一緒に入団会見をやろうということ。代表に呼ばれたときも幼馴染のGK沖悠哉(鹿島ユース)がいて刺激になった。昨年、鹿島ユースが全国優勝をしたことで、ライバル心もむき出しになった」と、古巣のライバルに刺激を受けながら、プロへの道をまい進している。もちろん、選手権も県大会優勝で満足するつもりはなく、山梨の制空モンスターの頭には、連続ゴールしかない。「上手い選手はいないので、見ていてつまらないだろうとは思いますけど、ただただ勝ちたいという気持ちだけ。走る、強く、ゴールに向かう推進力の3つを貫けば全国を取れると思うので自信を持ってやっていきたい」と泥臭く勝ち進む気概を示した。全国大会でも暴れ回るに違いない。
(取材・文 平野貴也)▼関連リンク
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