[選手権予選]小川の跡継ぎだ! 西川の決勝点で桐光学園が2年連続全国へ:神奈川
ゲキサカ / 2016年11月13日 21時26分
[11.13 全国高校選手権神奈川県予選決勝 相洋高 0-1(延長)桐光学園高 ニッパ球]
ストライカーに転向して数か月の長身高速FWが貴重な決勝点をたたき込んだ。第95回全国高校サッカー選手権の神奈川県大会は13日にニッパツ三ツ沢球技場で決勝戦を行い、桐光学園高が延長戦の末に1-0で相洋高を下して2年連続10回目の全国大会出場を決めた。
桐光学園は全国的にも名を知られる強豪だが、この日は苦しめられた。序盤から主導権を握ったものの、相手GK田代将太郎がビッグセーブを連発したこともあり、ゴールが遠かった。その上、前線にドリブラーを配した相洋のカウンター攻撃をまともに受けた桐光学園は、ズルズルと自陣に戻される場面も少なくなかった。苦戦が続き、PK戦突入の可能性が見えてきた延長戦終了3分前、ワンチャンスを物にしたのはFW西川公基だった。味方のロングパスをクリアしようとした相手DFがコントロールに失敗したところをすかさず奪い、ドリブルで持ち込んでGKとの1対1を落ち着いて決めた。
1年時から西川の潜在能力を高く評価して起用してきた鈴木勝大監督は「この3~4か月で急速に伸びた。人間的に成長してプレーの幅が広がった。以前は、自分が出来ていれば良いというスタンスだったけど、人とコミュニケーションを取るアンテナが強くなって、自分の良さも周りのプレーも引き出せるようになってきた」と決勝点を挙げた西川の成長を評価した。
昨年は、偉大な先輩を追いかけることで、我欲の強さが悪い方向に出ることもあった。チームは、まず前線の小川航基(現磐田)にボールを預けることを強く意識していた。そのため、自分が前を向いた良い状態で中盤からボールを引き出したかった西川は、ボールが来た時に自分の力を見せなければならないと気負い、非凡な能力を持ちながらも、ポジショニングで孤立し、成功率の低いドリブル突破に挑んでしまう面があった。「昨年はずっと自分が一番になりたいという気持ちが強過ぎて、周りを見ることができなかった。でも、今はチームがあって、次に自分があると思えるし、まずチームを勝たせたい」と1年前の自分を振り返った西川は、苦笑いを浮かべた。
小川が手本であり、ライバルであり、目標だ。準決勝の応援に駆け付けた小川からは前日だけに限らない準備の大切さを学んだといい。昨年までは練習の際に「ほかのプレーは練習しなくてもいいから、とにかくシュートを練習しろ」と今の状況を見越したようなアドバイスも受けていた。西川は、身長180cmとサイズがあり、足も速い。サイドMFからFWに転向したのが今年の夏で、ポストプレーの上手さや左右のシュート力などを比較するとU-19日本代表で活躍したFW小川に劣るところはあるが、小川のように恵まれた身体能力を誇り、相手の脅威となるストライカーだ。
西川は大学への進学を予定しており、すぐにはプロの小川に追いつけないが、全国の舞台では先輩超えを狙う。「あの人(小川)は、すべての面で手本。あの人が成し遂げられなかった全国の舞台で(ラウンド16敗退の)借りを返したい」と意気込んだ。今季の桐光学園は、守備陣にGK茂木秀(C大阪内定)、DFタビナス・ジェファーソン(川崎F内定)と2人のプロ内定選手がいるが、前線で覚醒段階にあるストライカーも要注目だ。
(取材・文 平野貴也)▼関連リンク
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