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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:39番を背負う意味(岡山・篠原弘次郎)

ゲキサカ / 2016年11月28日 8時22分

 15年シーズンの始動前。篠原はあるリクエストを強化部に伝える。「僕に39番を付けさせてください」。岡山のトップチーム所属選手としては最も大きな背番号の39。この番号は北嶋が熊本で1年半に渡って背中に纏っていた番号でもある。「キタジさんは本当に自分にとっては大事な人なので、その人が付けていた番号で頑張りたいと素直に思った」篠原の希望は叶い、その事実と決意を“恩師”に直接伝える。「キタジさんも凄く喜んでくれたんですよ」と笑顔でその時を思い出す篠原。何かを背負う覚悟を持った男は強い。相次ぐケガで序盤戦は棒に振ったものの、後半戦からは定位置を確保して存在感を発揮すると、昨年12月の入籍を経て迎えた今シーズンも、ケガと出場停止以外ではほとんどのゲームでスタメンを任され、昇格プレーオフ進出に大きく貢献。「どんな状況になっても『自分の目標を見失っちゃいけない』と思えるようになった」39番は、クラブと自らの目標を手繰り寄せるべく、アルウィンのピッチへ向かう。

 序盤から押し込まれる展開が続く状況にも、「『しゃあないな』ぐらいに僕は割り切ってやっていた」という篠原。前半16分には工藤浩平の際どいクロスも冷静にバックヘッドでクリアする。前半の内に先制点こそ奪ったが、「『いつやられるか』という感じで守っていた」という後半に追い付かれると、スコアは1-1のままで時計の針だけが着実に進んでいく。そして、もう岩政も最前線に上げ、攻めるしかない後半アディショナルタイム。GKの中林洋次が1秒を惜しむかのようにスローインを投げ入れ、篠原が長いボールを放り込んだ一連から、赤嶺の決勝点が生まれる。「みんな気持ちが入っていたので、本当に良かったですし、“ファジスピリッツ”じゃないですけど、諦めずにやってこられて良かったと思います」と勝利の喜びを噛み締めた篠原。その雨と汗に濡れた背中には、もちろんピッチに立っている選手の中で最も大きな“39”という数字が輝いていた。

 決勝の相手はC大阪に決まった。実は「次はセレッソなのでムチャクチャ楽しみ」という篠原は、ジュニアユースとユースの計4年間をC大阪で過ごしている。「山口蛍、(杉本)健勇、丸橋(祐介)とあのあたりはずっと一緒にやっていました。彼らも良い選手ですけど絶対に負けたくないので、『なめるなよ』というぐらいの気持ちでやってやりたいですね」と意気込む篠原にとって、桜色のユニフォームに身を包んでいた時とは比べ物にならないぐらい、背負うものが大きくなっていることは間違いないが、それを背負えるだけの日々を過ごしてきたこともまた確かだ。「泣いても笑っても今シーズンはあと1試合ですから。相手もセレッソですし、今持っているものすべてを出してどうなるかという話なので、それを全部出して、なおかつ勝利できれば僕のサッカー人生でも本当に大きな1日になると思います。これからの自分も変わっていくと思うので、それに期待して頑張りたいです」。12月4日。キンチョウスタジアム。篠原とファジアーノ岡山の“これから”を左右する90分間は、すぐそこまで迫っている。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務し、Jリーグ中継を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」

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SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史

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