「曽ヶ端選手はいましたが…」 PK沈めた阿部の視線の先に映っていた“光景”
ゲキサカ / 2016年11月30日 2時39分
[11.29 チャンピオンシップ決勝第1戦 鹿島0-1浦和 カシマ]
勝利に導いたのは主将の一蹴りだった――。前半からともに球際で激しい争いを繰り返し、好機を創出できないまま試合は進んでいく。前半44分にはFW武藤雄樹、後半6分にはMF遠藤康が決定機を迎えたものの、GK曽ヶ端準、GK西川周作と両守護神が立ちはだかり、スコアはなかなか動かない。しかし後半11分、FW興梠慎三がPA内でDF西大伍のファウルを誘ってPKを獲得。ボールにはキャプテンマークを巻くMF阿部勇樹が向かった。
プレッシャーの掛かる場面だが、阿部は「楽しんで蹴ろうと思っていた。硬くなって蹴ったら後悔すると思った」と気持ちを整える。眼前には曽ヶ端が待ち受けていたものの、その後ろ、ゴール裏には大勢の浦和サポーターが声援を贈っていた。「曽ヶ端選手はいましたが、その後ろの大勢の壁を見たらね。リラックスして蹴れました」。声援を贈るファン・サポーターからの後押しを受けた阿部が右足から蹴り出したボールはネットをきっちりと揺らし、チームに貴重な先制点をもたらした。
「最初の1点がどちらに入るかというのが非常に重要な試合だった。決めなければいけないPKだったし、自信を持って蹴れたので入って良かった」
終盤には鹿島の反撃に遭いながらも、体を張った守備でしのぎ切り、1-0の完封勝利。ホームで行われる第2戦に向けて大きなアドバンテージを手に入れたが、「まだ1試合終わっただけ。何も決まっていない」と気を緩めることなどない。
「もう1戦、埼玉スタジアムである。もちろん今日の試合を勝てたのは良かったと思うけど、次の試合に勝った方が優勝だと思っていた方がいいと思う。自分たちが怖がらずに1年戦ってきたことを出せるかが重要。いつもどおり、最後まで全力で戦いたい」
06年以来、10年ぶりのリーグ制覇まで、残るは1試合。気を引き締め直したキャプテンは、自分たちが1年間やってきたサッカーを貫いてホームで勝利を飾り、リーグ制覇を決めたいと決意を表した。
(取材・文 折戸岳彦)
●2016 Jリーグチャンピオンシップ
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