「勝負強いわけではない」…鹿島MF小笠原が語るチームの“強み”
ゲキサカ / 2016年12月4日 6時24分
[12.3 チャンピオンシップ決勝第2戦 浦和1-2鹿島 埼玉]
伝統的な“勝負強さ”を発揮して7年ぶり8度目のリーグ制覇を成し遂げた。しかし、鹿島アントラーズMF小笠原満男は「そこが一番勘違いしてはいけないところで、このチームが勝負強いわけではない」と話した。
第1ステージを制しながらも、第2ステージで思ったように勝ち点を伸ばせなかった鹿島は、年間勝ち点1位の浦和と勝ち点差「15」、同2位の川崎Fとの勝ち点差「13」の同3位でチャンピオンシップに臨んだ。一発勝負となった準決勝川崎F戦では、FW金崎夢生の一撃で勝利を収めて決勝へと駒を進めたものの、決勝第1戦では0-1の完封負けを喫して決勝第2戦に挑むことになった。
優勝のためには2点が必要な状況で迎えた決勝第2戦。前半7分に早々に先制を許したものの、2点が必要という状況は変わらなかった。そして、その後の試合運びでチームの伝統を示せたと小笠原は振り返る。
「こういう特別な一発勝負で状況が目まぐるしく変わる中、皆が冷静に何をすべきかを理解して戦えた。そういうものがチームの伝統だと思う。攻撃だけ、守備だけではなく、攻める必要があれば攻めるし、守る必要があれば守る。それをできるのがチームの一番の強みだと思う」
まだ時間は十分に残されている――。何をすべきかをピッチ上で表現するチームは、前半40分にMF遠藤康のクロスを金崎がダイビングヘッド押し込み同点に追い付く。これで、浦和に2点目を許さなければ、鹿島が優勝に必要な得点はあと1になった。後半に入って1-1からスコアがなかなか動かなかったものの、「全然慌てる必要はないし、残り10分、15分まで同点でもまったく問題ないと思っていた」と冷静に試合を進める。
小笠原自身は後半28分にピッチを後にしたが、同34分にFW鈴木優磨がPA内でDF槙野智章のファウルを誘って得たPKを金崎がきっちり沈めて逆転に成功。ベンチで見守ることになった小笠原は、「最後までプレーしたかったけど、味方を、仲間を信じて安心して見ていた」。ピッチ上で最後まで戦った選手たちはリードを守り抜き、2-1の逆転勝利を収めたチームは年間勝ち点3位からの“下剋上V”を果たした。
一発勝負をモノにする伝統的な“勝負強さ”を発揮してのリーグ制覇となったが、小笠原は「言い方が難しいけど」と前置きしつつも持論を展開した。
「そこが一番勘違いしてはいけないところで、このチームが勝負強いわけではない。本当に練習から一生懸命やって、試合でも必死に戦ってきたのがこのチームで、勝負強いから勝てるというのは、この世界ではあまりないと思う。やっぱり謙虚に努力しなければいけないし、いつでも勝てるとは限らない」
日頃の練習に一生懸命打ち込み、1試合1試合を必死で戦ってきた。“勝負強さ”があるから勝てるのではなく、その一つひとつの積み重ねが勝利に、タイトル獲得につながると表現。そして、「タイトルを獲った後がすごく大事」とすぐさま表情を引き締める。
「クラブW杯、天皇杯があるし、来シーズンもある。浮かれるか、歯を食いしばって頑張れるか、その差は大きい。タイトルを獲り続けるのがアントラーズだと思うので、これで満足しては絶対にいけない」。鹿島在籍19年目。勝利の味を知り尽くすキャプテンは、18個目のタイトルにも満足することなく、次のタイトル獲得に向けて新たな一歩を踏み出そうとしている。
(取材・文 折戸岳彦)
●2016 Jリーグチャンピオンシップ
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