涙には様々な思い…柿谷が語った「ケンペスのおかげ」
ゲキサカ / 2016年12月4日 22時28分
[12.4 J1昇格プレーオフ決勝 C大阪1-0岡山 金鳥スタ]
FW柿谷曜一朗は3年ぶりのJ1復帰を勝ち取った瞬間、仰向けになってピッチに倒れ込んだ。目からは涙があふれ、頬を伝っていた。J1復帰を決めたことへの安堵、怪我で苦しんだ今季を振り返る思いがあったが、心の中で天国に旅立った元僚友への思いも同時に頭をよぎっていた。
柿谷にとっては特別な思いを持つ選手だった。11月28日、南米コロンビアで旅客機が墜落。乗り合わせたブラジル1部のシャペコエンセの選手やスタッフらが亡くなった。2012年にセレッソ大阪でプレーしたケンペス選手も帰らぬ人となった。
柿谷は2012年、徳島での2年半のレンタル移籍から復帰。C大阪での再出発を期すシーズンに、初来日したケンペス選手と同僚になった。J1に復帰した柿谷だが、いきなりキャリアハイのシーズン11得点を記録。前年のJ2リーグで奪った6得点を大きく上回るものだった。
「サッカー選手として今があるのはケンペスのおかげやと思っている。言い過ぎかもしれないけど、ケンペスとFWをするようになってから点が取れるようになったので」
C大阪はこの日の入場の際、全員がケンペス選手が在籍時に背負っていた背番号9のシャツを着て登場。これはキャプテンの柿谷の発案によるものだという。ベンチには選手全員がメッセージを書き込んだ当時ケンペス選手が着ていたユニフォームが飾られていた。
「本当に楽しかった思い出もいっぱいありますし、今日も見てくれてると思っていたので、恥ずかしいところは見せられないなと思ってプレーしてました」
無理を押しての試合出場。8月に右足を手術するも、強行軍で復帰にこぎつけた柿谷にとっては、まずは怪我を完治させることが最優先となる。「治すところはしっかり治して、来季に臨みたい」。今季の大半を棒に振ったことで、チームに迷惑をかけたという思いも強い。「満足いく結果ではないかもしれないけど、反省するところは反省して、ゆっくり休みたいです」。C大阪のキャプテンは様々な思いを整理して、3年ぶりのJ1のピッチで大暴れする。
(取材・文 児玉幸洋)●2016 J1昇格プレーオフ
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