「あれこそ、一位取れるボランチ」日本一、世界一目指す筑波大MF鈴木徳真の理想形
ゲキサカ / 2016年12月12日 19時12分
[12.12 全日本大学選手権(インカレ)準々決勝 筑波大 2-1 関西大 浦安市運動公園陸上競技場]
明確な目標がある。それに到達するためには信じて、努力し続けるしかないレベルの目標だ。だが、それをやり遂げるだけの覚悟と決意が筑波大のU-19日本代表MF鈴木徳真(2年=前橋育英高)にはある。
この日、ダブルボランチの一角として出場した鈴木は中一日の厳しい試合日程で身体の無理がきかないだろうことを理解した上でのプレー。「一番最初のポジション修正を上手くやりながら、一歩先に動ける位置取りをしようと攻撃でも、守備でも意識していました。我慢しながら『ここだ』というところで使い分けないと、たぶん後半も持たないなというイメージだった」。個で何とかするために無理矢理走り回るのではなく、まずはポジショニングを意識して相手のスピードを消し、その中でMF吉田直矢(4年=川崎F U-18)とのコンビでボールを奪い取るなどチームに穴ができないように心がけた。
そして攻撃面ではボールをサイド、縦へ動かしながら、相手にできたわずかなズレを見逃さない。一気に攻撃をスピードアップさせて左サイドでスルーパスを通し、中盤から大きく飛び出してシュートも放った。理想の姿はJ1王者・鹿島のボランチ陣が表現している動きだ。「日本一を取るために筑波に来ている。強い思いが結構あって、逆算して僕が何ができるかやっている。(永木、柴崎、小笠原ら鹿島)アントラーズの今の選手を見てもらえれば分かると思うんですけど、ボランチは辛抱強くディフェンスして、でも取ったボールはしっかり繋げて、攻撃にかかわっていくのは僕の中で理想の形かなと思っている。あれこそ、一位取れるボランチかなと思っている」。
大学生がプロのスピードを意識しながら日々努力することは簡単ではないはずだ。それでも筑波大の小井土正亮監督は「1年前の彼と比べると全く違いますよ。目指すべきところが明確になったというか。ちょっと上手くて、動ける選手から脱皮しようとしている。もっと良くなると思います。日々の練習で本当にトライしているので僕も期待しています」。大学サッカー界注目のMFは日々努力を続け、日本のトップレベル、世界を意識してもがきながら成長しようとしている。
世代屈指のボランチである鈴木は10月に開催されたAFC U-19選手権のU-19日本代表メンバーから漏れた。自身が立つことのできなかった舞台で日本は初優勝。危機感を募らせている。17年U-20W杯を戦うU-20日本代表のメンバーに入り、20年東京五輪、そして将来のW杯出場……、そこから逆算すると、今やらなければならないことが明確になっているというが、それは簡単にクリアできる課題ではない。「(代表チームで)あそこのポジションに入ってそれ以上のパフォ-マンスができるならと思って毎日練習していますし、入ってワールドユースで優勝狙えるボランチになっていなければいけないと思ってやっているので、毎日危機感を持ってやっていますね。簡単じゃないことは分かっているんですけど、だからこそ今やらないといけないことが明確になっていて、個人の能力が上げられれば世界と戦えるんじゃないかと思っている」
成長することと同時にアピールしなければ、その舞台に立つチャンスを得られない可能性がある。同世代の代表選手たちとの差が埋まっているのか確認するためにも、まずは再び年代別代表チームに呼ばれるだけのアピールをすること。来年5月に開幕するU-20W杯まで時間がないだけに、鈴木は今回のインカレをチャンスに繋げる意気込みだ。「筑波が上に行けば行くほど評価される。(好プレーを見せたこの日よりも)さらにやれたと思いますね」。ベスト4や準優勝ではまだまだアピール不足。優勝を勝ち取って来年、世界へ挑戦する機会を得る。
(取材・文 吉田太郎)●第65回全日本大学選手権(インカレ)特集
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