中学生で名古屋トップチームの練習に参加した逸材…筑波大10番北川柊斗が得意の決勝で本領発揮
ゲキサカ / 2016年12月19日 7時45分
[12.18 全日本大学サッカー選手権(インカレ)決勝 日体大0-8筑波大 駒場]
背番号10は今大会初先発に燃えていた。FW北川柊斗(3年=名古屋U18)は前半から積極的な仕掛けでゴールに迫ると、後半の3得点でハットトリックを記録。2トップの相方、FW中野誠也(3年=磐田U-18)とWハットトリックを達成し、筑波大(関東2)に13年ぶり9回目となる大学日本一のタイトルをもたらした。
「今日は取る予感がありましたね。決勝に強いんで」
北川は決勝男だ。2010年12月、名古屋グランパスU15の一員として全日本ユース(U-15)選手権の決勝を戦った北川は、京都U-15との決勝で、1ゴール1アシストの活躍。大会得点王を獲得する活躍で、優勝へと導いていた。
中学3年生で、当時ストイコビッチ監督が率いたトップチームの練習にも参加する逸材だった北川は、翌年、名古屋グランパスU18に昇格した高校1年生の冬、Jリーグユース選手権の決勝でもセレッソ大阪U-18を相手に先制点を記録。チームを初優勝に導いたゴールは、グランパスファンのみならず、多くのサッカーファンが明るい未来を見た。
だがその後は思うような成長曲線を描くことが出来なかった。名古屋グランパスでトップ昇格を逃して筑波大に進学。中学生の時からライバル関係にあった中野とともに1年生から出場機会を重ねてきたが、3年生になって10番を背負った今季は、関東1部リーグで21試合に出場したものの、4得点2アシストにとどまり、得点ランク2位の活躍だった中野に大きく水を開けられた。
「エース番号なので、責任を感じている。何かしら結果を残さないといけないと思ったのですが…。結構チャンスはあったんですけど、最後の決定力というところがなかった。プロになるためにはまだまだ足りないなと思わされた1年でした」
今年最後の大会となったインカレではなかなかスタメンの機会が与えられなかったが、決勝前々日に行った紅白戦で5得点を決めてアピール。スタメンのチャンスを得ると、しっかりものにしてみせた。「結果を残さないといけなかった。大げさですけど、サッカー人生をかけるくらいの気持ちでやっていました」。
今季は“古巣”の名古屋が史上初のJ2に降格。名古屋U18もプレミアリーグから降格するなど、残念なニュースが続いている。古巣の動向は「毎試合、毎試合チェックしていた」という北川は、「J2降格となると、さすがに思うものがありましたね」ともどかしい思いにも駆られている。名古屋出身者としての吉報。古巣の悪夢を思えば僅かかもしれないが、「いい報告ができるのかな」と喜んだ。
来年は今後サッカーを続けていくためにも大事な勝負の一年になる。今オフには名古屋下部組織で同期だったMF森勇人が契約満了で退団となった。「あいつの能力でも出れないとなると厳しいのかなと思いました」と話す北川だが、プロを目指したい思いは変わらない。「足元の技術はない方ではないと思っている。ドリブルからのシュートを磨いていきたい」。憧れをFWルイス・スアレス(バルセロナ)だと話す21歳は、これからも自分の信じる道を突き進む。
(取材・文 児玉幸洋)
●第65回全日本大学選手権(インカレ)特集
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