「40分は無駄なサッカー」も終盤に猛攻みせた藤枝明誠…MF丹羽「非常に悔いが残る試合」
ゲキサカ / 2016年12月31日 22時2分
[12.31 全国高校選手権1回戦 藤枝明誠高1-2東海大仰星高 三ツ沢]
前半とは打って変わった姿で相手を押し込んだ。しかし時既に遅く、逆転は叶わずに初戦敗退となった。1-2で敗れた藤枝明誠高(静岡)のMF丹羽一陽(3年)は「後半は自分たちのやりたいパスサッカーができたのですが……なかなか点を取りきれずに負けてしまったのは、非常に悔いが残る試合でした」と振り返る。
前半のシュートはわずか1本。相手の守備に苦しみ、思うようにボールを動かすことができず。前線に収められなかった。そして前半23分にはセットプレーから失点。1点を追う展開を強いられた。それでも後半に入ると、“王国のプライド”を胸にようやくチームは目を覚ます。FW藤本一輝(3年)が鋭い突破をみせれば、FW遠野大弥(3年)も前線で身体を張った。果敢な姿勢は実る。後半8分、右サイドからドリブルで仕掛けた丹羽がPA手前で倒され、FKを獲得。DF中道慶人(3年)が左足で蹴り込んだボールはネットを揺らし、1-1に追いついた。
しかし直後にショートカウンターから失点。再び差をつけられる。後半27分には二度目の同点弾を奪うチャンスがやってきた。左サイドから仕掛けた藤本がPA内左で倒され、PKを獲得したのだ。キッカーは事前に決まっていた通り、10番を背負い、ゲームキャプテンを務めていた丹羽が務めた。
GK宮本一郎(2年)を前にペナルティースポットへ立つと、時間をかけて走り込んだ。しかしゴール左へ狙ったシュートは守護神の右手に弾かれた。自らこぼれに詰めては左足シュートを放ったが、またも宮本に弾かれた。「練習と同じ場所に蹴ろうとしていて、それを読まれたのは悔しい」と振り返った丹羽だったが「思い切り蹴ることは出来たので悔いはないです」と言い切る。
PK失敗後も下を向かずに戦い続けた丹羽は「悔しかったですけど、残り時間もあったので貪欲に自分が取り返したやろうと思ってやりました」と胸中を振り返った。1点を追うチームは後半28分、相手ボールを奪取したMF上戸雅也(2年)がPA右へ持ち込みシュートを打つもGKに阻まれた。後半35分には相手が退場者を出し、数的有利にも立った。終了間際の40分には右クロスに飛び込んだ遠野がヘディングシュートを放ったが、無情にもクロスバーを叩いた。試合はそのまま終了し、1-2の敗戦。初戦敗退となった。
藤枝明誠の松本安司監督は「40分は無駄なサッカーになってしまい、やるべきサッカーをできなかった。後半はボールを大事にゴールを目指すことができて、ようやく70%はできた」と厳しい言葉で試合を振り返る。
丹羽も「前半から本来の力を出すことができれば、(後半のように)あのくらいのチャンスはできたと思う。それが初めての全国大会の緊張感なのかなと思います」と悔やんだ。後半みせたプレーを前半からできていれば……“たられば”は尽きない。
丹羽たち3年生が目指した“王国復活”は夢半ばに終わった。サッカー王国・静岡が再び全国舞台で輝くときを。その夢は後輩たちへ託された。藤枝明誠の10番は「1、2年生は来年や再来年もあるので、この場所に戻ってきて、今日よりも明誠らしいサッカーをして、もっと上にいければと思います」とエールを口にした。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 片岡涼)▼関連リンク
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