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[MOM2014]富山一FW本村比呂(3年)_亡き父と支えてくれる母へ恩返し弾、スランプ乗り越えたストライカー

ゲキサカ / 2017年1月9日 9時21分

 しかし、富山一へ進んだ高校1年生時の12月に父・昌夫さんが交通事故で急逝。「サッカーを辞めようかと思いました」と当時を振り返る。それでもお世話になっているOBの方や大塚監督から「お父さんはそんなことは望んでいないと思う」と言われたこともあり、サッカーを続ける決心をした。2年前を振り返った大塚監督は「自分の気持ちに素直な男。サッカーをやりたいという想いはどんなことがあっても変わらない。ここで辞めさせたらいけないと思いましたね」と言う。

 父の亡き後、本村はとにかくひたむきに練習へ取り組んだ。いつも厳しい父親だったが、母の前や職場では「(息子は)プロになるはず」と話していたと人づてに聞いた。父の想いを知り、「プロになりたい」という想いは日に日に強まっていった。努力は実り、高校3年生の今季には富一の主力に。そして選手権への切符をつかんだ。

 しかし、指揮官が「ポテンシャルが高いけれど、気持ちにむらがある選手」と表するように、メンタル面に課題があった本村は、ここで調子を落としてしまう。「精神的なものだと思います」。全国切符を手にした安堵からスランプに陥った。そこで指揮官から言われたのが「お父さんのためにサッカーをやるんじゃないのか?」という一言だったのだ。

 我に返った本村は、原点回帰とばかりに無我夢中でトレーニングに取り組んだ。スランプ脱出のために「ひたすらボールに触ろうとシュート練習をしました」。すると徐々に調子は上向いていく。大会直前の12月25日以降、神奈川大、山形中央高、流通経済大と練習試合をしたが、3試合全てでゴール。調子を取り戻すと、この日の初戦・那覇西戦でも得点を記録した。

 指揮官は「あそこで力強いシュートを打ってくれた」と本村を労い、「春先はああいうチャンスを決めきれずに悩んでいたが、今はいい状態が続いている」と称える。殊勲のストライカーは「やっとここに来てという感じで……お父さんが調子を上げてくれたのかな? と少し思いますけど」と微笑んだ。

 春からは関西1部のびわこ成蹊スポーツ大へ進学予定。「高校ではプロにはなれなかったですけど、大学でももちろんサッカーを続けるので。プロになれるように日々努力していきたいなと思っています」と意気込む。父の想いを知った今、その夢が色褪せることはない。

 とはいえ、まずは目前の高校選手権。大学進学後、母と離れることになるからこそ、家族の目前でプレーできる選手権の舞台で結果を残すつもりだ。「お母さんが独りになるので、恩返しできるのはここが最後かな。プロになって恩返しするのもありますが、今結果で恩返しするしかないので」と孝行息子は優しく誓った。

 『ヒーローになるように』。そんな願いを持ってつけられた比呂という名前。本村家の、富山一のヒーローになるべく、本村比呂はゴールを重ねていく。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 片岡涼)▼関連リンク
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