3年生2人で挑んだ松山北、バス11台の応援に勝利で応えられず
ゲキサカ / 2017年1月3日 1時31分
[1.2 全国高校選手権2回戦 遠野高2-0松山北高 フクアリ]
夏に引退した仲間たちの思いも背負って戦った。公立の進学校である松山北高(愛媛)は例年、夏の総体後に3年生の多くが引退。今年のチームも選手権まで残った3年生はMF稲井雄大とFW串部太一の2人だけだった。
「総体の県予選で決勝まで行って、延長で勝ち越したのに追いつかれてPK戦で負けた。こんな形で高校サッカーが終わるのは嫌だった。絶対に選手権で借りを返そうと思った」。総体後もサッカー部に残った稲井はゲームキャプテンとしてチームを牽引。2年ぶり5回目の全国選手権出場に導いたが、全国での1勝は遠かった。
「全国に出て、(総体の)借りは返せたけど、全国で1勝するのと初戦敗退は全然違う」。選手権の県予選前には、引退した3年生から全員で寄せ書きしたTシャツが稲井と串部の2人に贈られていた。「勝って恩返しがしたかったし、申し訳ない」。全国に出るだけで満足するわけにはいかなかった。
この日はサッカー部の応援のため、松山からバス11台で約250人の“応援団”も駆け付けた。渡部晃久監督が「あの応援で普段の3倍ぐらいの力をもらって、走らせてもらった」と感謝したスタンドの後押し。しかし、勝利で応えることはできなかった。
「自分もチャンスがあって、決め切れなかった。全国の舞台は県予選とは雰囲気が違った」。そう唇をかむ稲井は「愛媛県の代表としてピッチに立たせてもらった。その思いも背負いながら、この悔しさを生かしてほしい」と、ともに戦った後輩たちへエールを送った。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 西山紘平)
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