「ピッチの上では絶対に泣かない」長崎総科大附の注目MF薬真寺主将は前を向いて高校サッカーから卒業
ゲキサカ / 2017年1月3日 7時12分
[1.2 全国高校選手権2回戦 鹿児島城西高0-0(PK4-2)長崎総合科学大附高 等々力]
ピッチの上で涙は見せなかった。前評判高かった長崎総合科学大附高(長崎)は桐光学園高(神奈川)との注目対決を突破して迎えた2回戦でPK戦敗退。注目10番MF薬真寺孝弥主将はその瞬間について「悔しい気持ちだった」と振り返ったが、ピッチ上でも、試合後のミックスゾーンでも気丈な振る舞いを貫いていた。
「もっと上に行きたかったですけど、ピッチの上では絶対に泣かないですし、キャプテンの自分が泣いたらいけないと思ったので、他のみんなを慰めていました。(この3年間で)全てにおいて成長したんじゃないかなと思うんですけど、勝負に勝てなかった。大学行って目標はもちろんプロなんで、この悔しさをプロの舞台で晴らしたい」
国見高(長崎)に数々のタイトルをもたらしてきた小嶺忠敏監督も「少なくてももう1試合戦わせてあげたかった。そのくらい、できるチームだった」と評するチーム。プリンスリーグ九州で無敗Vを成し遂げた実力はもちろん、薬真寺を中心に人間性も評価された好チームだった。
だが、その強豪もこの日は守りを固める鹿児島城西高(鹿児島)のゴールを破ることができない。相手MFにマンマークにつかれた薬真寺はシュートへ持ち込むシーンもあったが、それでもコンビネーションがわずかに噛み合わずに思い通りプレーをすることができなかった。「自分が周りに合わせることも大事っていうことが、この試合で学べました」。また、U-17日本代表FW安藤瑞季(2年)が強引にPAへ潜り込み、また快足FW右田翔(3年)が右サイドでDF2人をかわしてクロスを上げるようなシーンもあったが、最後まで得点に結びつけることができず。PK戦で敗れたチームは泣き崩れた。
特にPK戦1人目で失敗したエースFWの安藤らはチームバスへ向かう通路でも涙が止まらず、仲間の手を借りなければ前に進めないほど。ただ薬真寺は「誰を責めるとかはない」と語り、一緒に成長してきた仲間たちに向けて「みんなに感謝したいです」と前を向いた。
そして、ともに地元・大分から長崎へ渡ってプレーしてきた後輩FW安藤へ向けては「外したのは結果論。オレと(安藤)瑞季が一緒にサッカーするのは最後になるかもしれないですけど、瑞季は来年あるんで、自分よりももっと引っ張れる選手になってほしいというのは思います。本当に悔しかったと思うので、もっとバケモンになってもらいたい」とエールを送った。
リベロ、ボランチ、トップ下と各ポジションで才能を発揮してきた注目MF薬真寺は大学サッカーで次の挑戦をスタートする。99年の早生まれで今年発足するU-18日本代表メンバー入りも有力視されるMFは、悔しさを糧にしてこれからさらに力を磨き、プロ、そして日本を代表する選手へと成長する。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
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