終了間際の同点ゴールで勝利確信! 創造学園GK矢野「PKだったら絶対止める、自信しかない」
ゲキサカ / 2017年1月3日 11時59分
[1.2 全国高校選手権2回戦 創造学園高1-1(PK4-2)広島皆実高 浦和駒場]
PK戦に突入すれば、絶対負けない自信が彼にはあった。
4年ぶり2度目の出場となった創造学園高(長野)の勝沢勝監督は、初勝利が懸かる重要な一戦に、コーチングに優れる背番号1のGK伊藤爽真(3年)ではなく、GK矢野遥希(3年)を起用した。「広島皆実高の武器はセットプレーで高さがあるので、(身長が)高い選手の方がいいだろうと思いました。あと、このスタジアムが(芝が)固いから足が攣る選手が出てくると思いました。PK用に彼を取っていたけど、最初から使った方が(交代カードを)1枚余らして怪我とか足が攣った選手用に使える」と思い、背番号12を起用した。
「自信もってやれ」と指揮官に背中を押され、ピッチに入った矢野は、前半16分に先制を許し、キックミスも目立ったが、期待されたハイボールの処理や、抜群の反応で広島皆実のシュートを止め続けた。それでも、創造学園は1点が遠く苦しい時間が続いた。「全体的にずっと攻められていたので、1点を取られるわけにはいかなった。苦しいこともあったが、絶対決めてくれるという自信はあった」。相手にこれ以上得点を与えなければ仲間がやってくれる。その予感は的中した。
終盤に向けてパワープレーに出ていた創造学園は、ラストワンプレーとなった後半アディショナルタイム2分、ロングスローの流れからDF徳武廉(3年)のクロスをDF森昂大(2年)がヘッドで合わせ、1-1。それまで体を張って守っていた選手たちで同点ゴールを奪ってみせた。「勝ったなと思った。PKだったら絶対止めるという自信しかないので」。これは慢心ではない。これまで「去年の新人戦でも1本、選手権の予選でも延長後半から出てPKを止めていました」。また、大会に入ってからもPKの練習を欠かすことはなかった。
1人目は「分析と同じ方向だった」。ゴール右に蹴り込んだボールを反応よくセーブし、2人目、3人目は決められたものの、後攻の創造学園は3人目まで全員が成功。迎えた4人目は、「助走の入り方などでどっちに蹴るのか分かった」と語るようにゴール右に飛んだシュートに飛びついて弾き出した。そして、4人目のキッカーMF樋口令惟(3年)が冷静にゴール右に決め、同点の勢いのまま創造学園がPK戦を4-2で制した。
耐えて、耐えて掴み取った悲願の選手権初勝利。劇的な試合展開にチームメイトと抱き合いながら涙する選手もいた。PKには絶対の自信があったと語っていた矢野も涙を流した。「内容が内容だったので、ホッとした部分がありました」と勝利の立役者は、照れくさそうに微笑んだ。正智深谷高との3回戦では、出番がない可能性もある。それでも、同校の歴史を作った守護神の活躍は指揮官に強烈な印象を残したはずだ。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 清水祐一)▼関連リンク
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