滝川二は8強で涙、2PK献上のCB今井主将「申し訳ない気持ち」とチームへの感謝
ゲキサカ / 2017年1月6日 7時1分
[1.5 全国高校選手権準々決勝 滝川二高0-2前橋育英高 フクアリ]
滝二らしく「怯まず、奢らず、溌剌と」戦い抜いた。滝川二高の松岡徹監督は「なかなか簡単に前を向かせてもらえなかった」と前橋育英高のタイトなDFの前に3戦13得点の攻撃力を発揮させてもらえなかったことを残念がったが、「ウチらしく最後までできたと思う。出ている選手、出ていない選手含めて成長してくれた」と最後まで全力で戦い抜いた選手たちに目を細めていた。
試合後、最も目を腫らしてミックスゾーンに現れたのがCB今井悠樹主将(3年)だった。前半22分、相手の突破をファウルで止めてPKを献上。その後相手の決定的なアーリークロスに対して懸命に身体を伸ばしてクリアするなど、ボールを支配され、攻め続けられた中で誰より身体を張ってゴールを守っていた。
だが、0-1のまま迎えた後半37分、PAへ切り込んできた相手に飛び込んだところで相手の足を引っ掛けてしまい、再びPKを献上。前半のPK献上シーンに続いて2枚目の警告を受けた主将は、退場となってしまう。
0-2で敗退。ここまで3試合無失点で勝ち上がってきたチームの立て役者は「キャプテンのボクがレッドカードもらって退場しっちゃって、チームメートのみんなに迷惑かけてしまって申し訳ないという気持ちでいっぱいです」と語り、唇を噛み締めた。後半37分のシーンは突破を許して、自分が捨て身の守りをするしかないような状況。「他の先生方にも(どちらにせよ)『オマエが行かんやったら失点していた』と言ってくださいましたけれど、それは違うと思う。DFリーダーとして守らないといけない」と首を振った。
仲間たちともっと戦いたかった。その仲間たち、チームには感謝の思いしかない。滝川二に来て人間的に成長することができた。「滝二入って、ボクの短所として気分屋、人前でしゃべれないというのがあったんですけど、滝二入って、キャプテンやって、(監督の)松岡先生に急に『前でしゃべれ』と言われることもあったし、みんなシンドイ時もあると思うけれど、キャプテンとして自分が前向きに元気出してやらんとあかんなというところがあったんで、凄いポジティブな捉え方もできるようになったし、一人の人間として凄い成長させてもらった」と語る。
主将としての日々は「めっちゃ大変でした。苦しいところの方が多かった」。個性派集団をまとめることは簡単でなかった。それでも、自分たちで何度も話合いながらひとつになって行く感覚があった。予選突破後の不振も乗り越えて全国8強入り。敗れたこの日も「最後まで滝二らしく全力でプレーするというのは意識してやったんで、ボク自身、誰よりも声出して頑張ろうと思いましたし、チームを最後まで鼓舞して、(滝川二のモットーである)『怯まず、驕らず、溌剌と』点を取りに行ったのはチームとしても凄く良かったと思いました」と全員で戦い抜けたことを喜び、仲間たちに感謝した。
チームがまとまることを考え、誰より戦ってきた今井の退場は残酷な結末だった。それでも松岡監督は「今後について考えたら成長すると思う。彼にとっては大きな財産になると思う」。悔しい敗戦、そして悔しい退場。だが、それを自分で乗り越えられた時に人間としてまた成長できる。3年間で誰より成長してきた彼が必ず乗り越えることを確信したメッセージ。苦しい状況を仲間とともに乗り越えてきた主将は、この悔しい経験を今後続けていくサッカー人生への財産とする。
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
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