「まとめるのがむずかしい選手が揃っていた」青森山田をまとめ、歴史に名を刻んだ主将MF住永
ゲキサカ / 2017年1月10日 0時33分
[1.9 全国高校選手権決勝 青森山田高5-0前橋育英高 埼玉]
前半23分にMF高橋壱晟(3年)が先制するまで、ペースは前橋育英高(群馬)にあった。「もっと(長いボールを)蹴る時間があってもいいかなと。でも(試合の)入りからつなごうとしてしまった」と青森山田高(青森)のMF住永翔(3年)。それでも「ガマンをする時間が1試合に何回かくる」ことを身を持って知るチームは、焦れずに先制点を許さなかった。
選手権決勝ということもチームに影響を及ぼした。「何人かガチガチになってました」とキャプテンの住永は、いつも通りではなかったことを認めた。
先月17日に行われ青森山田が“日本一”に輝いた高円宮杯チャンピオンシップでも、同じ埼玉スタジアムを使っていたが、観客は1万2503人。この日は、選手権の決勝戦ということもあって、4万1959人の観衆がつめかけていた。「観衆が4万人以上いると、話が頭に入ってこないで、自分の世界に入ってしまうと(黒田剛)監督から口うるさく言われていたので、いろいろなことを耳に入れて、頭に入れて、(意識が)1点にならないように広く見ながら試合に入るようにしていた」。ピッチの外から見つめていた黒田監督は「中でコミュニケーションしながら、入りは悪いけど再生していった」とチームが落ち着きを取り戻していった様子を振り返る。
中学時代はコンサドーレ札幌U-15に所属していた住永は、ユースへの昇格がかなわず、“高体連の雄”青森山田の門を叩いた。「足元上手い選手が揃っていたから、ポゼッションが得意」という青森山田の特徴に加えて、「球際の競り合いや結束というJユースにない」(住永)高校サッカーならではの“強み”をプラスしていった。その結果、プレミアリーグEAST王者として臨んだ高円宮杯チャンピオンシップで広島ユースに勝利。そして、選手権も制し、青森山田は“2冠”を達成した。
卒業後は明治大に進学する住永は「まとめるのがむずかしい選手が揃っていた」と、主将としての苦労も口にした。「(主将を務められたのは)1人の力ではなく、周りに力を借りて。感謝しています」。“青森山田史上最高のキャプテン”と呼ばれた1学年上のDF北城俊幸(慶應義塾大)とは「違うキャプテン像」を目指した住永が、先輩を超えて選手権初優勝の主将として歴史に名を刻んだ。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 奥山典幸)
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