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父にとって22年目の悲願、青森山田の黒田父子はピッチで抱き合い涙

ゲキサカ / 2017年1月10日 0時52分

 「日常生活では絶対に涙を流さないような人」という父。今まで選手権で敗れての悔し涙は見ていたが、この日は嬉し涙。孝行息子は「優勝して恩返しができて、悔し涙ではなく一緒に嬉し涙を流せたことが嬉しいです」と優しく微笑む。

 父の下でプレーしてきた高校3年間。息子は「結局、どんなプレーをしても最終的には(黒田監督の)息子だと言われると考えたら……そういうのは気にしないで、結果を残すことだけ、ゴールを決めることだけを考えてやっていこうと思いました。そういうなかで結果を残せてきたのは良かったです」と振り返った。最後の舞台にプレイヤーとして立つことは叶わなかったが、日本一に立った青森山田の一員として、ここまでの道のりに貢献してきた自負はある。

 選手権を終え、今後は選手として“再出発”する。春からは父の母校でもある大阪体育大に進学予定。故障が癒えた2、3月には実戦復帰し、大学の始動には間に合う見込みだ。

 先に見据えるのはプロサッカー選手という夢はもちろん父の背中。「父さんが大阪体育大で教員免許を取って、そこから体育の教員になり、道を切り拓いていった。自分も大阪体育大でプロサッカー選手を目指すことはもちろんですが、教員免許やサッカーの指導論を学んで、指導者として立ちたいなとも思っています」と言う。

 父の後を継ぎ、青森山田高を率いたい気持ちもないわけではないが、「正木(昌宣)コーチなど色々お世話になったスタッフの方たちがずっと山田を見てきてくれて、父さんの下でコーチやヘッドコーチとしてやってくれています。自分がそこに行って、親のコネでみたいのはやりたくない」と言い切った。

 日本一となった次に見据えるのは、また違った“最高の恩返し”。「他のチームで高校の教師になって、サッカーの監督になれたら、そういう下積みをして、父のチームと選手権で試合ができたら、最高の恩返しになるかなとは思っています」。もしもその試合に、母と妹が観戦に来てくれたら……。「中立の立場で見てほしいですね」と笑った。親子の夢はひとつ叶ったが、まだまだ続きはあるようだ。

 父子が手にした日本一のタイトル。凱は涙した赤い目で「小さいときから見てきた青森山田。準優勝の時もベスト4で負けたときも見てきましたし、すごく惜しいところで負けてくるのも見てきました。チャンピオンシップも含め、選手権で優勝させることができて、自分たちの代で初のタイトルを獲ることができたのがすごく嬉しい。父さんには本当にありがとうございましたと伝えたいです」と一際優しく微笑んだ。

 父の悲願は息子の代で達成された。「ありがとう」と互いを思いやった二人。黒田家の特別な一日は嬉し涙で幕を閉じた。

(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 片岡涼)
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