重圧の中でスタートを切った青森山田の新主将CB小山内、厳しい指摘を胸に本当のリーダーへ
ゲキサカ / 2017年1月29日 19時32分
[1.29 東北高校新人選手権準決勝 青森山田高 2-0 仙台育英高 相馬光陽サッカー場A]
偉大な主将の後継者はどのような一年を送るのか――。
青森山田高の新主将、CB小山内慎一郎(2年)が重圧の中で新シーズンをスタートした。小山内は16年度のプレミアリーグチャンピオンシップと全国高校選手権2冠の立て役者のひとり。特に選手権では的確なポジショニングで相手のシュートコースを消し、幅広いカバーリングで危険の芽を積んで5試合2失点という堅守と初優勝に貢献した。
優勝メンバーの中で下級生はMF郷家友太(2年)と小山内の二人だけ。郷家がエースとしてチームを引っ張ることを期待されていることもあるだけに、小山内は自分が主将の重責を担うことを決意した。だが、この日は後半にチームのミスが増える中で自分自身のプレーも不安定に。取らなければならないポジションを省略してしまったり、自らインターセプトされて決定機を招くシーンもあった。
試合後のミーティングでは正木昌宣コーチから直接「(主将を)辞めた方がいい。人に言えるほどやっていない」と厳しく指摘された。集中力や継続性を欠いたプレーをした自身に対して当然とも言える“失格の烙印”。先輩たちが卒業して最上級生となり、リーダーとしての自覚は持っていたが、その覚悟はまだまだ甘かった。
「去年からピッチに立たせてもらっている上で(廣末)陸さんや(住永)翔さんに引っ張ってもらったというのが大きいです。自分がやらないといけないのに、『おんぶに抱っこという状態でまだ気持ちを入れられずに人間的にも考え方も変わっていない』と言われました。2冠取った後のキャプテンというプレッシャーも、メディアからのプレッシャーもある中で結果を残していかないとダメだし、キャプテンとして難しい部分もあるんですけど、全うしなければいけない」。
昨年のMF住永翔主将(3年)のリーダーシップは絶大だった。誰も嫌だと思うようなことを先頭に立って実行し、躊躇なく周囲に厳しい言葉をぶつけながら、自身は誰にも負けないようなハードワーク。気を緩めて良いシーンでは真っ先に周囲を笑わせるなど、魅力的なリーダーで有り続けた。青森山田は住永に加え、一昨年のDF北城俊幸、そしてその前年のDF小笠原学と近年の主将は150人を越える部員の思いを背負ってまとめ上げる存在がいた。小山内はその後継者とスタートを切ったところ。自身が守備の柱として勝利に導きながら、彼ら同様の主将になること、それも2冠達成後で例年以上に注目集まる中でチームをまとめ上げるという難題をクリアしなければならない。
かつて自身も青森山田の主将を務めていた正木コーチは「慎には慎の良さがある。(だが)みんなを引きつける何かが無いとダメ」と語っていた。その中で小山内は「(住永)翔さんは上手いですし、キャプテンシーもある。(自分は)上手さでは翔さんに敵わないと思うので、身体を張ったり、鼓舞したりする部分、精神的な部分で盛り上げていければいいと思います」。2冠王者の新リーダー。小山内は自分なりの姿で、ただし、周囲を引きつけるものをこれから必ず築いて、青森山田の先頭に立つ。
(取材・文 吉田太郎)
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