2冠王者・青森山田も「力負け」認める内容。1年後の全国タイトル獲得狙う尚志が東北新人戦制す!!
ゲキサカ / 2017年1月30日 22時9分
青森山田は狭いスペースでのパス交換にチャレンジするが、なかなか前にボールを運ぶことができない。織り交ぜていたサイドチェンジもスピードが上がらず。ボールを握っていた時間帯もあったが、相手に対応されてクロス、シュートの数も増やすことができない。セカンドボールを引き寄せていた尚志はMF吉田泰授(1年)の鋭い仕掛けなど個々が自分の持ち味を出してチャレンジ。細かいパスで相手のファーストDFを剥がすなど簡単にボールを失わなかったこともあって前半は尚志ペースで進んだ。
だが、青森山田も一瞬の隙を突いてチャンスをつくる。28分、相手の守りを上手く広げると、右中間のMF東城雅也(2年)が落としたボールから1トップのFW小松慧(1年)が抜け出す。だが決定的な左足シュートはGK宗像利公(2年)正面。後半8分にはこの日U-18日本代表に選出されたエースMF郷家友太(2年)が右足FKを狙うが、壁に阻まれた。
尚志の中井は青森山田について「球際と空中戦は凄い強かったですね。DFの間合いとかやりづらくて。ここはファウルもらう場面とか、共通理解が凄かったと思います」。王者を良く封じ込んでいた尚志だが、それでも脅威を感じていたという。だが、彼らの「山田さんも泥臭くやってくるので自分たちも球際、寄せるところ、声出すところは負けないと前提にしてやっていた」(中井)という姿勢、鋭いアプローチは後半半ばを過ぎても変わらなかった。
青森山田はMFバスケス・バイロン(1年)の強引な突破が2人がかりで止められるなどゴールが遠い。後半17分には192cmFW三国ケネディエブス(1年)を投入し、終盤にはCB蓑田広大(2年)を前線に置いてパワープレーで相手ゴールをこじ開けにいった。後半は青森山田が攻め続けていたが、高さを活かし切ることができず、逆にカウンターを食らって尚志MF加瀬直輝(1年)に決定的なシュートを放たれるシーンも。青森山田は後半アディショナルタイム、左FKにファーサイドで反応した蓑田が決定的なヘディングシュートを放ったが、シュートは枠右へ外れてしまう。結局、選手交代によって3ボランチや5バックも駆使しながら1点リードを守りきった尚志が1-0で勝利。2冠王者・青森山田に早くも黒星をつけた。
中井が「山田さんは全国制覇していますし。ここで勝ってという気持ちは強かった」という青森山田戦勝利を達成。尚志の西田コーチは「俺たちもやれるんだという自信がついたと思います。全国優勝しているようなチームに対して俺たちもやれるんだと思えるようになる」とこの勝利による、さらなる効果を期待した。
達成感のある1勝だったが、尚志の選手たちが試合後に口にしていたのは「もっとできた」という言葉。もっと落ち着いてプレーすれば、もっと良いサッカーで勝てるという手応えが選手たちにはある。目標はあくまで1年後の選手権制覇。そのために夏の全国高校総体でも4強以上を掲げるなどチームの意識は高い。だからこそ、中井は強敵撃破の直後に「ここはまだ通過点だと思っている。ここで満足したら終わりだと思うのでまた明日から引き締めてトレーニングしていきたい」。西田コーチが指摘したように守備面やビルドアップの課題も改善しなければならない。チームは選手権で10番を背負ったMF加野赳瑠(2年)やFW伊藤綾汰(1年)ら今回不在だった実力者たちも加えてまた貪欲に競争。今回、自信を手にした尚志がライバル以上の成長を遂げて、今度は自分たちが東北地方に全国タイトルをもたらす。
(取材・文 吉田太郎)
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