筑波大GK森本泰介「一番はプロにいきたい」、勝負のラストシーズン
ゲキサカ / 2017年5月19日 23時2分
[5.14 関東大学L第5節 筑波大0-0慶應義塾大 味フィ西]
大学ラストイヤーに懸ける想いは強い。筑波大のGK森本泰介(4年=栃木ユース)は開幕戦こそベンチだったが、第2節以降は“正守護神”として君臨している。14日に行われた第5節・慶應義塾大戦でも落ち着き払ったセーブでピンチの場面を凌いでいた。
昨季は悔しいシーズンだった。ルーキーGK阿部航斗(2年=新潟U-18)の後塵を拝し、後期リーグ戦では最終節しか出番はなし。迎えた全日本大学選手権(インカレ)ではまさかのベンチ外。阿部が先発し、同じくルーキーのGK大川圭為(2年=浦和ユース)が“第2GK”としてベンチ入り。先輩守護神はスタンドで応援しながら、チームの日本一を見届けた。
「悔しかったのはもちろんです。ベンチ入りもできなかったので、なんで……? と思いましたし、1年ちょっとぶりくらいにスタンドで応援していたんです。あの時はすごく落ち込みました」
それでも腐ってはいられなかった。「とにかく練習しましたね」と言うとおりだ。課題を克服するために、悔しさを振り払うかのようにトレーニングへ明け暮れた。「動かないことには変わらないかなというのがあって。間違っているかもしれないけれど、とにかく動かないとと思ったんです」。足元の技術には自信はあったが、わずかなミスが目立つと感じ、キックを重点的に強化した。
努力の甲斐あり、今季は開幕戦こそベンチスタートだったが、第2節以降は正守護神の座を死守している。最上級生らしい落ち着きで最後尾からチームを支え、随所で足元の上手さも示す。慶大戦でも至近距離からのシュートを冷静に弾くなど存在感をみせた。
森本の起用を続ける理由について、筑波大の小井土正亮監督は「(森本と阿部)どっちもいいんです。どっちでもいいというよりも、どちらもいい。なのでどっちでもいいんです」と煙に巻くようなコメント。「森本の方がちょっと足元が上手かったり、阿部の方が高さ的にはいいかもしれないですけど、全体的な落ち着きという意味では森本のほうがいい。(どちらかを選ぶことに)あまり意味はないです。どちらもいいので、どちらが出ても大丈夫なんです」と説明する。両者への信頼は揺ぎ無い。
4年生GKは「監督が決めることなので、いつ試合に出てもいいように自分は準備するだけ。僕は監督のことをとても信頼していて、すごく見てくれていると思っています。今もいつ代わってもおかしくない。(4年生だからこそ)負けられないというのはありますけど、そこは練習からお互いに競り合っていけているので」と表情を引き締めた。切磋琢磨する日々で互いを高めあっている。
大学最終学年を迎えた森本。この先は「一番はプロにいきたいと考えています」と口にする。進路を勝ち取るためにも、6月21日に控える天皇杯2回戦・ベガルタ仙台戦は自身の力を試し、アピールする上での絶好のチャンスとなる。
「そこでも試合に出ることができるように。せっかくJクラブと試合ができるので、それが公式戦となると天皇杯しかないので。すごく楽しみです」と声を弾ませつつも、冷静沈着なGKは先の大舞台に目を眩ませることはせず。「まずはリーグ戦。自分がゼロに抑えたら、勝つ確率は高くなると思うので、無失点というところにこだわって、やっていきたいと思っています」と強く誓った。
(取材・文 片岡涼)
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