引退を懸けたラストマッチ…涙も満足の栃木高イレブン
ゲキサカ / 2017年6月26日 6時5分
[6.25 全国高校総体栃木県予選決勝 栃木高 1-4 真岡高 栃木グ]
全国の舞台には、わずかに届かなかった――。今大会、3回戦で関東大会県予選優勝校のさくら清修高を、準々決勝で昨年度の全国高校選手権4強の佐野日大高を破り、決勝の地まで辿り着いた栃木高だったが、最後の最後で力尽き、彼らの高校サッカーが幕を閉じた。
開始早々の2分、栃木がチャンスをつくる。CKから中央であわせたFW齊藤智(3年)のヘディングがクロスバーを叩く。立ち上がりこそペースを握りかけたが、そこから「真岡高の圧力に屈してしまった」(栃木・大貫祐市監督)。前半24分、真岡高MF鵜養修平の左クロスをFW齊藤遼平(3年)に頭で合わされ、先制されてしまう。すると、前半終了間際には、「何よりも警戒していた」CKから2点目を献上。後半、栃木は5分、9分と立て続けに計3枚の交代のカードを切り、システム変更を試みるが真岡ペースは変わらない。
「試合前の練習から硬かったですね。全然走れていなかった。連戦の疲労もあったでしょうし、雰囲気に呑まれたところもありました。準決勝は昨年の経験もあり、うまく乗り切ることができましたが、決勝はまた独特の雰囲気がありました。真岡さんとの伝統の違いを感じましたね」(大貫監督)。
栃木は流れを掴めないまま後半もさらに2点を追加される。それでも、アディショナルタイムに一矢報いる。41分、左サイドでFKを得るとMF菊池遼司(3年)が足を攣らせながらもゴール前にフィード。FW味村大地(3年)が頭で合わせてゴールを奪った。意地の一発は会場中の喝さいを浴びた。
「ここまでよく来られたと思います。もしかしたら全国も、と思いましたが、難しかったです」(大貫監督)。
3年生は総体県予選決勝をもって引退し、大学受験に備える。県下でも有数の進学校である栃木ならではの伝統だという。大貫監督は「うちは個人個人がしっかりした子が多い、その分、チームとしてまとまるのは大変。それでも今年のメンバーはチームワークが素晴らしかったおかげで、ここまで来られました。最後はありがとう、という言葉をかけました」。
敗戦後、全国初出場を逃して涙に暮れた選手たちも「満足感も大きかったはず」と指揮官は褒めたたえた。3年生が高校サッカーの集大成として挑んだ総体県予選。決勝まで辿り着いたことがまた一つ伝統になり、後輩たちへと受け継がれていく。
(取材・文 石井健太)●【特設】高校総体2017
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