「ライター安藤隆人の総体優勝予想」V候補の明確な基準。最もバランスの取れている前橋育英
ゲキサカ / 2017年7月29日 6時0分
特集企画「ユース取材ライター陣が予想する『全国高校総体優勝校』」
インターハイ優勝予想。まず優勝候補として挙げるのが、青森山田高、東福岡高、前橋育英高、流通経済大柏高、市立船橋高、静岡学園高、昌平高だ。
ただし、予想を難しくするのが、青森山田、東福岡、前橋育英が3回戦までに潰し合ってしまうこと。ここで2つが消えてしまい、勝ち上がったチームも疲弊を抱えて準々決勝以降を戦うと考えると、どこを削るか迷った。しかし、この3チームは優勝候補の中でも筆頭に挙げられる戦力を持っているだけに、やはり外せない。
その中で決勝のカードを予想すると、前橋育英VS静岡学園で優勝は前橋育英と予想したい。
まず、前橋育英を挙げた理由が、守備の安定感にある。4バックはまるまる昨年からのレギュラーで、うち1人がプロ内定で、もう2人もプロ入りの可能性があるという、全国的に見てもトップレベルのタレントを有する。攻撃面でも田部井涼と塩澤隼人のダブルボランチを軸に、個性派豊かなアタッカーが配置されている。さらに控え選手の質も非常に高い。FW榎本樹、高橋尚紀ら、ハイレベルな選手が揃っているのも強みだ。
そもそも優勝候補に挙げる明確な基準として、『主役となるべき選手がいるチーム』、『主役を支える名脇役が多くいるチーム』、『誰が出ても力を発揮出来るチーム』の3本柱があると考えている。
前橋育英は一番そのバランスが取れているからこそ、優勝予想に挙げた。そして、他に挙げたチームもそれに当てはまる。
青森山田は攻守のバランスが取れ、何より勝ち切る強さに関しては高校ナンバーワンと言って良い。東福岡も攻守において核となるタレントを有し、伝統の4-1-4-1から繰り出すサイド攻撃は強烈の一言。流通経済大柏は毎年のようにリーグ戦でメンバーが入れ替わり、不動のレギュラーと呼べる選手が少ない。今年は2年と3年に学年を分けて戦った時期もあり、3年生が成長。2年生CB関川郁万というスターがいるが、3年生の安定感が格段に上がり、攻守面でのレベルアップをもたらしている。
静岡学園はフィールドプレーヤー全員の技術レベルが高く、ベンチにはジョーカー的な存在のドリブラーもいる。初のインターハイ制覇の可能性は十分に持っているチームだ。
市立船橋はプレミアイーストで最下位と苦しんでいるが、このまま黙って終わる訳が無い。初戦を良い形で飾ることが出来れば、一気に波に乗って行ける力は十分にある。
昌平に関しては、前述した6チームと比べると、そこまで選手層は分厚くないが、ピッチに立つ11人のレベルが非常に高い。昨年のベスト4以上を十分に狙える陣容だ。
この予想のポイントはやはり、前橋育英が青森山田、東福岡、流通経済大柏と強豪ひしめくゾーンを打ち破れるかにある。ここを突破することはかなりの至難の業だが、前橋育英ならその力は十分にある。逆ゾーンでは静岡学園の総合力が勝ち上がってくるのではないかと予想した。
果たしてこの予想は当たるのか。それとも予想は外れるのか。外れたとしても、優勝候補に挙げたチームが勝ち上がるのか、それとも伏兵が名乗りを上げるのか。ぜひ、楽しんでインターハイを見て欲しい。
執筆者紹介:安藤隆人
日本列島、世界各国を放浪するサッカージャーナリスト。育成年代を精力的に取材する“ユース教授”。主な著書は『走り続ける才能たち 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、『高校サッカー聖地物語』(講談社)など●【特設】高校総体2017
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