後期リーグで要注目!小柄でも倒れない法政大のドリブラーMF紺野和也
ゲキサカ / 2017年9月15日 18時40分
切り裂くというよりは、突き破るという表現が似合う。16日から後期リーグが始まる関東大学サッカーリーグで5位からの浮上を狙う法政大に、注目のドリブラーがいる。右サイドから相手の守備網を破るMF紺野和也(2年=武南高)だ。
今月10日まで関西で行われていた夏の日本一決定戦、総理大臣杯では準々決勝でゴールを奪ったほか、カウンターの起点やフィニッシュへつなぐチャンスメーカーとして存在感を発揮し、35年ぶりの優勝に大きく貢献した。
「この大会でかなり自信がつきました。2人にマークされる場面も多かったんですけど、それでも抜けたので手ごたえがありました。もう、どことやってもやれるかなと思います」と手ごたえを話した紺野は、縦への突破だけでなく、左利きのためカットインからのシュートやSBのオーバーラップを呼び込む動きも多い。相手にとっては厄介極まりなかった。
小柄だが倒れない。小さくて速い選手にありがちな軽さは、見当たらない。特に準決勝や決勝では、カウンターとなるドリブルを仕掛けた際、早めに潰そうとする相手の厳しい当たりを受け、体のバランスを崩した場面から、ぐいと前に出て脅威となった。
紺野は「一回動きが止まったときに、相手が一瞬ホッとしますよね。そこで前に出られたら嫌だと思うので、意識しています」と、ボールロストのピンチを、むしろ突破の狙い目として捉えていた。ボディコンタクトでもバランスを失わず、上体で壁を作ってボールを守りながら前へ運ぶ。紺野がボールを持って前を向けば、全員が攻撃のためのポジショニングに移れる。
トーナメントを勝ち進むにつれて、堅守速攻をベースとした戦い方が明確になる中で、「コンビネーションもできるので、本当は味方が近くにいる方がプレーを選べて良いと思います。でも、味方がいなくて前にスペースがあって、そこで相手をぶち抜けば評価を上げられるので、それはそれで嬉しいところもあります」と話す頼もしいドリブラーは、一層目立つ存在となった。
全国大会での活躍は、ずっと望んでいたものだ。武南高時代に県内屈指のドリブラーとして名を馳せたが、3年の間で一度もインターハイ、高校選手権の全国大会に出場できなかった。プロ志望だったが、実績不足も響いて練習参加も実現せず、大学サッカー界の門をたたくことになった。大学では、長山一也監督から球際の強さを求められ、体幹トレーニングは欠かさない。同時に武器であるドリブルに磨きをかける中で、相手の重心を見ることができるようになり、突破の成功率向上とボールロストの減少という成果が見え始めている。しかし、全国大会の優勝で満足するわけにはいかない。目指すべき舞台は、まだ先だ。
「プロと練習試合をして、スピードやフィジカルは、通用するところもあるけど、まだ完ぺきではない。背が小さいので工夫しないといけない。大学レベルじゃなくて、常にプロのレベルを意識していないと、プロになったとしても活躍できない。マークが厳しくなる中でも相手を抜けないと評価を上げられない。大学に入ってからは全国にプレーをアピールできる場は増えていると感じていますし、一試合、一試合を大事に戦っています」
今度こそ、プロ入りのチャンスをつかむ。日本一への貢献は、まだ名刺を渡した段階に過ぎない。リーグ戦や冬のインカレ(全日本大学選手権)でさらに名を売るつもりだ。レフティードリブラーの紺野と攻撃参加が得意な右DF武藤友樹(4年=八千代高)との連係は、抜群。法政大の右サイドは、秋のリーグ戦でも要注目だ。
(取材・文 平野貴也)
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