[MOM2264]旭川実FW山崎蒼太(3年)_絶望的な大怪我から間に合った!復帰戦で値千金の決勝弾
ゲキサカ / 2017年10月28日 23時37分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.28 選手権北海道予選準決勝 駒大苫小牧高 0-1 旭川実高 札幌厚別]
悪夢のような戦線離脱から帰って来た男が、チームを救った。第96回全国高校サッカー選手権大会の北海道予選は28日に札幌厚別公園競技場で準決勝2試合を行い、第2試合は旭川実高が1-0で駒大苫小牧高を下して決勝進出を決めた。
唯一のゴールが生まれたのは、後半終了2分前。「監督から、残り5~10分で勝負をかけるから、ゴールを目指せと言われた。(右MFの)中里颯汰が縦に仕掛けたときに中を見ていたので、予測して中に入って行った」と話した左MF山崎蒼太がペナルティーアーク内で右からのクロスをワンタッチで合わせてゴールへ押し込んだ。ニアにいたU-18日本代表候補FW圓道将良にスルーをするように声をかけたという。後半32分に投入されてから、わずか6分。1点を争う好ゲームの均衡を破る、値千金のゴールで仕事を果たした。
昨季の全国大会に出場している山崎が先発ではなくベンチを温めていたのは、負傷から復帰して間もないからだ。当初、この大会に間に合わない予定だったため、県予選のパンフレットには名前の記載がない。
6月に行われたインターハイ(全国高校総体)県予選の2回戦、札幌大谷戦で相手と接触した際、左足を痛めた。骨折とじん帯断裂の大けがだった。診断は、全治6か月。山崎は「選手権は、チームが全国大会まで勝ち進んで(年末年始になって)も間に合わないと言われた。もう(今後)サッカーをするかしないかという話にもなってショックで、初めて味わった気持ちだった」と当時の絶望感を思い出すように話した。それでも、毎日の20分間走に苦しみながらリハビリに努め、高校生活の集大成となる選手権に復帰を間に合わせた。
9月にはボールに触れ、10月の千葉遠征で実戦復帰。公式戦の復帰がこの試合だった。戻って来た甲斐があった。しかし、ここで満足することはできない。全国大会に出ることが目標だ。夏はチームがインターハイ全国ベスト8と躍進したが、ピッチ上で力になることはできなかった。自分のユニフォームをベンチに飾って戦ってくれた仲間を、今度はプレーで助ける番だ。
「最後の大会だから、3年間やって来たことを発揮したい」と思いをかける選手権。戻って来た山崎の一撃で、全国出場は目の前に迫った。翌29日の決勝戦で北海道大谷室蘭高を倒し、扉を開けるか。「今は、まったく大丈夫です」。戦線に戻った男は、もう準備万端だ。
(取材・文 平野貴也)●【特設】高校選手権2017
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