[MOM2269]星稜DF小平大輔(2年)_緊張感ある試合でみせた“強さ”、公式戦初ゴールが決勝点に
ゲキサカ / 2017年10月30日 9時51分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.28 選手権石川予選準決勝 星稜高 1-0 金沢桜丘高 金沢市民サッカー場]
30年以上、高校サッカーの舞台に立ち続ける名将・河崎護監督だからこそ、トーナメントの難しさを良く分かっている。試合前、星稜高の選手に与えたのは、「トーナメントの目標は勝つこと。大量点を狙うわけではなく、どんな形でもPKになっても勝つくらいの気持ちで戦えよ」という指示。是が非でも白星を掴むためには、無駄な失点は許されない。そうした緊張感のある試合で存在感を見せたのは、2年生CBの小平大輔だった。
持ち味は競り合いの強さ。この日は、「桜丘は蹴ってくる相手だったので、ヘディングで絶対に負けないよう意識していた」と振り返ったように、ターゲット役のMF西村星哉(3年)を目がけてロングボールを放り込んだ金沢桜丘に対し、空中戦で圧勝。「後ろが安定していれば、後半必ず点が入ると思っていた」という狙い通り、前半を無失点で終え、勝負の後半へと持ち込んだ。
すると、後半14分には自らにチャンスが訪れる。MF高岸憲伸(3年)がショートコーナーからゴール前に入れたクロスはDFに弾かれたが、こぼれ球がPA中央にいた小平の下へ。「ボールが転がってきて、ちょっと焦ったんですけど、しっかり狙って蹴ろうと思っていました」と冷静に左足で放ったシュートがゴール左隅に突き刺さった。
この一撃は、小平にとって公式戦初ゴール。「これまでに見たことがないくらいの笑顔だった」とDF敷田唯(3年)が評するほどの喜びを見せたが、以降は再び気を引き締め、無失点を維持。試合後には、指揮官からも「こういう(緊張感がある)ゲームだからこそ、後ろが安定するかが大事。センターバックの二人は落ち着いて、ピンチを与えなかったと思う」と高評価を与えられた。
攻守両面で輝きを見せた小平の台頭はチームにとって大きな意味を持つ。春先から主将を務める敷田がセンターバックを務めることは確定していた。だが、彼のパートナーを務める選手が定まらず、守備の安定感を欠き、インターハイでは静岡学園高に3失点し、2回戦で敗れた。守備の強度アップを図るため、白羽の矢が立ったのは、インターハイではメンバー外だった小平だ。
8月中旬に北海道でおこなったフェスティバルで出番を得ると、青森山田高との試合で存在感をアピール。「山田のFWに負けたくないとプレーするうちに、常にバチバチ戦うのが大事だと思った。そこから負けたくないというメンタルを全面に押し出してプレーできるようになった」と確かな手応えを掴み、レギュラー争いに名乗りを挙げた。
以降は、プリンスリーグ北信越でもコンスタントに出番を掴み、「春先は身体に力がなかったけど、使っていくうちに段々良くなっていった」(河崎監督)。今予選では、ここまで3試合連続無失点を続けるチームに一役買っている。このまま、無失点優勝を果たせるか。決勝でも、小平の活躍から目が離せない。
(取材・文 森田将義)●【特設】高校選手権2017
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