[MOM2273]北陸DF杉村勇輔(2年)_雨中で高い攻撃性能発揮した右SB、1G1Aの活躍
ゲキサカ / 2017年10月30日 9時10分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.29 選手権福井予選準決勝 敦賀気比高 1-2 北陸高 三国運動公園陸上]
試合開始とともに強まる雨足。水を含んだピッチに苦しんだ北陸高の選手は「良くボールを奪ったけど、その後奪われる回数が多かった」と松本英吉監督が振り返ったように、思い通りにボールを繋げず、序盤から苦しんだ。その中で持ち前の攻撃性能を発揮し、チームを2年連続での選手権出場に近づけたのは、右SB杉村勇輔(2年)の奮闘があったからだ。
武器は、タイミングの良い攻撃参加。ロングボール中心の攻撃が続く中でも、機を見ては前方に顔を出し、攻撃を活性化させると、最初の見せ場が訪れたのは前半27分。右サイドから上げたクロスをゴール前に走り込んだFW妹尾隼(1年)が頭で合わせて、先制点を奪った。
「クロスの質、ヘディングの質、ゴールに入っていく角度。全てが良くて見事なゴールだった」と松本監督が絶賛する一撃は、努力の賜物。杉村は、「ずっとサイドからのクロスを練習してきた。最初は全然良いボールが蹴れなかったけど、回転を考えたり、タイミングを意識するうちに良いボールが蹴れるようになった」と口にする。
以降も、雨を苦にせず右サイドを果敢に攻め上がると、後半26分に再び絶好のチャンスが訪れる。左サイドから妹尾がクロスを入れると、ゴール前のFW小幡暉(3年)が先にボールに反応したが、「小幡さんがボールを持つより、僕が持った方が良いと思ったので、“スルー”と声を出した」とボールを要求。PA右でボールを受けると、落ち着いたシュートでゴールネットの隅を射抜いた。
試合後は、「一つひとつのプレーを見れば、トラップが大きかったり反省点はあった」と話しつつも、「結果を見れば1ゴール1アシストで勝利に貢献できたので良かった」と満足した表情も覗かせた。
昨年は右SHとして選手権出場に貢献したが、12月下旬に行った合宿で左足首を負傷し、全国大会ではスタンドから声援を送った。新チーム結成後も怪我の影響でプレーできず、チームに完全合流したのは、春になってから。徐々に本来の持ち味を取り戻すと同時に、「後輩ができてから、2年生としてチームを引っ張っていかなければと思った」と自覚も芽生えてきた。
夏以降は右SBへとコンバート。「前は攻撃だけを意識していれば良かったけど、サイドバックだとセンターバックのカバーとか守備も大事になる。ゴールを守ることを前提にして、そこからいかに攻めるかを考えている」と意識を変えつつ、憧れとして挙げる2年先輩のDF梅田亮祐のクロスを真似ながら新たな持ち場の習得に励んだ。この日の朝も、昨年の決勝の動画をチェック。「梅田さんの動きを確認できたことが、先制点に繋がった」と笑顔を見せた。
選手権予選に入ってからは、「コンディションも良くなってきた」と調子は上向きで、決勝でも活躍する可能性は十分。昨年、立てなかった憧れの舞台を自らの活躍で手繰り寄せるつもりだ。
(取材・文 森田将義)●【特設】高校選手権2017
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