[MOM2304]松山工MF芳之内啓(3年)_V弾導いたシュート練習、1年間で埋めた“数センチ”の差
ゲキサカ / 2017年11月11日 23時33分
[11.11 選手権愛媛県予選決勝 今治東中等教育学校1-2松山工高 西条市]
あれから1年、必死で積み重ねてきたシュート練習が“数センチ”の差を埋めた――。技ありループと豪快な弾丸シュートで2得点を挙げ、松山工高を逆転優勝に導いたFW芳之内啓(3年)は決勝戦の試合後、前回大会で喫した悔しい記憶を思い起こしていた。
2016年11月12日、前回大会の愛媛県予選決勝。松山北高と対戦した松山工は延長の末に敗れ、すぐそこにまで迫った全国行きの希望を絶たれた。当時2年生だった芳之内は同点で迎えた延長戦、決定的なシュートを放つもクロスバーに直撃。「ゴール前でドフリーだったのに外した。それを決めていれば全国行けたのに……と、ずっと悔しい思いがあった」。そんな想いを抱えた芳之内はその後、シュート練習により一層力を入れるようになった。
そして1年後、同じ県予選決勝の舞台で屈辱を晴らす機会が訪れる。後半23分、PA外左寄りでDF上野竜馬(3年)のパスを受けた芳之内がドリブルでカットイン。3人のディフェンスを前にしていたが、迷わずに右足を振り抜くと、力強いシュートがクロスバーに当たった。しかし1年前とは異なり、勢いよく弾かれたボールはゴールラインの向こう側へ。大一番の自身2得点目は、1年前に手が届かなかった全国行きの切符をたぐり寄せる決勝弾となった。
「あれからシュート練習を何度も繰り返してきて、今回の試合では決められたので良かったです。バーに当たって……本当に“数センチ”の世界ですよね」
芳之内は前半24分にも、浮き球のワンツーパスからダイレクトループで同点弾を記録。「2点ともFWの2人やボランチの選手たちが相手を引きつけてくれた」と、喜びよりも先にチームメイトへの感謝が飛び出したが、シュート2本でしっかり2点を決め切った決定力は練習の賜物だろう。
実はそんな芳之内だが、夏のプリンスリーグ四国の試合で膝の靭帯を負傷し、ようやく10月中旬に行われた選手権予選2回戦で実戦復帰したばかり。離脱中には後輩のFW山口結生(1年)が先発の座をつかんでおり、「山口も国体代表に選ばれていたりしてうまいので、(定位置が)危ないと思っていた」(芳之内)という。
一方の坂本哲也監督も「(一時期は)コンディションが上がらず、全然走れなかったし、ボールも収まらなくて、どうかなと思っていた」と悩んでいた様子。ようやく決勝の舞台で期待に応えてくれたことで、「ここで彼が結果を出したというのは私にとってもうれしい」と喜んだ。
次のステージは全国大会。地方予選以上の強豪校が並び立つ中で、シュート1本の重要さがより大きくなってくるだろう。「全国で強い相手が来てもビビらず、自分たちのサッカーをして勝っていきたい」。FWアリエン・ロッベンのカットインシュートを参考にしているというサイドアタッカーは、さらに決定力に磨きをかけて大舞台へと挑む。
(取材・文 竹内達也)▼関連リンク
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