4日前、零下14度でアジアと戦っていた注目FW安藤瑞季は苦しい戦いに。仲間に助けられて立つ全国で「得点」見せる
ゲキサカ / 2017年11月13日 11時42分
[11.12 選手権長崎県決勝 長崎総合科学大附高 2-1(延長)長崎日大高]
今年の高校サッカー界で最注目のストライカー、長崎総合科学大附高FW安藤瑞季(3年)にとっては、悔しさの残る決勝戦となった。U-18日本代表の一員として、8日までAFC U-19選手権2018予選に出場。最終戦(対タイ、2-1で勝利)は気温零下14度だった極寒のモンゴルから9日夜に航空機で帰国し、中2日で全国切符を懸けた決勝戦で100分間を戦った。
2日前、チームに長崎に戻ってきた安藤の動きを見た小嶺忠敏監督は「全然悪かった」と振り返る。本人は問題ないことを強調したというが、経験豊富な指揮官は「最初、出さないでおこうかだいぶ迷った。アイツがいるだけで相手の気持ちが違うだろうと。でも、だいぶ迷った」と明かす。
それでも決勝戦に先発した安藤は「前半飛ばした」。序盤から積極的に仕掛け、チームは3分に早くも先制点を奪った。安藤は27分にインターセプトから攻撃参加したDF嶋中春児(3年)とのワンツーでチャンスを演出。38分には左中間から強引にDFの前に走り込んで前進すると、決定的な左足シュートを打ち込んだ。
後半7分にも一人で持ち込んでゴール前を横切るクロスを上げ、18分にはPA外側から仕掛けてシュートへ持ち込んだ。らしいプレーも幾度か見せたが、相手にファウルで止められるシーンが多く、ピッチに長々と座り込むシーンも。モンゴルでは日本との気温差に加えて、5日間で3試合、慣れない人工芝のピッチでプレーしたこともあって、疲労は蓄積されていた。
モンゴル出発前は小嶺監督も「行く前は良かった。キレがあって」と絶賛するほどの動きを見せていたという安藤だが、この日は最前線からの強烈なプレッシングや動き出しを何度も繰り返してゴールへ襲いかかるようなプレーは見られず。FW荒木駿太(3年)やFW西原先毅(3年)が彼の分まで動いてサポートしてくれたこともあり、ゴール前に張っている時間が長かった。本人は動かない身体に苛立つ中でも、勝利を目指して戦い続ける。だが、延長戦では足を攣らせるなど、やはり満身創痍の戦いだった。
チームは延長後半終了間際にMF田中純平主将(3年)が決めた決勝点によって2-1で勝利。安藤は「田中が決めてくれて本当に嬉しかったです」とホッとした表情を見せた。全国ではこの日助けてくれたチームメートのためにも、自身のためにも活躍しなければならない。「もっと厳しい試合がある中で(荒木)俊太も(中村)聖鷹も、サキ(西原)もFW3人が支えてくれる。自分がどんどんいいパス出してアイツらに決めさせて、逆に俺も引き出してアイツらに活かしてもらえればいい」と力を込めた。
全国大会で自身の見て欲しい部分について、「得点ですね」と即答。注目の進路は未定ということだが、「自分はまだチームが決まっていないので。オレのことを欲しいと思ってくれるチームに行きたい。(プロは)クラブ活動ではない。(その中でサポーターやチームの)期待に応えないといけないというのは楽しみではあります」と来年、新たな舞台で活躍することを楽しみにしていた。まずは、その前に選手権、そしてプレミアリーグの参入戦。長崎県予選6得点で得点王も「少ない」と首を振っていた注目ストライカーは、結果を残して次のステージに挑戦する。
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
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