「勝つことへの執着心」を手に…高校サッカー界の名門・星稜、2年ぶりに高校選手権へと“帰還”
ゲキサカ / 2017年11月20日 21時20分
衝撃の予選敗退から1年――、MF本田圭佑(パチューカ)ら多くのプロ選手を輩出してきた名門校が選手権に還ってきた。
4年連続で選手権4強(12〜15年度)、うち1回で全国制覇。県予選では17連覇中だった星稜高(石川)の選手権出場が途切れてしまったのは昨冬のこと。“まさか”のニュースに高校サッカー界は揺れた。「決勝で負けて、とてつもない悔しさを味わわされた」。DF敷田唯主将(3年)は、1年前の出来事を振り返る。「全員が勝つことの難しさを知らされて。でも、それによって勝つことへの執着心が強く根付いたので、気持ちの部分は成長したと思います」。27回目の選手権を戦う星稜高、そのキャプテンを務めるセンターバックは、失意の1年前からの成長を実感している。
2015年1月13日、埼玉スタジアム2002。優勝カップを高々と掲げた星稜イレブンの様子が敷田の脳裏には焼き付いている。「中3のときに日本一を現地で観戦して、星稜高に入りました」。その翌年度、1年生ながら3回戦の中京大中京戦(○1-0)に後半34分から出場し選手権デビューをはたす。「1年生で試合に出させてもらって、憧れの舞台だったので、思いっきりやろうと思っていました」。続く準々決勝・明徳義塾戦(○3-0)にも途中出場し出場時間を延ばしていく1年生の前に、“大きな壁”が立ちはだかった。
迎えた準決勝、対戦相手は圧倒的な強さで勝ち上がってきた東福岡高だった。「0-2で負けている状況で交代で入って、失うものは何もないので思いっきりやってやろうと思って入ったんですけど、正直、東福岡のレベルの高さに圧倒されて……。自分の力を出しきれずに終わったので、本当悔しかったです」。その年、選手権を制した東福岡との戦いに思いを馳せた星稜高の主将は、「3年になって戻ってこれたので、もう1回、勝つことにこだわって自分のプレーを出していきたい」と言うと、「もちろん、日本一です」と今大会での目標を高らかに宣言した。
その星稜高を待ち受けるのは、同じく2年ぶりの出場となる松山工高(愛媛)だ。主将のDF志摩奎人(3年)は「(県予選決勝より)こっちのほうが緊張しますね」と抽選会を無事に終えると、「楽しみ」と優勝経験校との対戦に胸を躍らせる。
志摩も1年生ながら選手権のピッチを踏んだ選手の1人だ。15年度、松山工の緒戦となった2回戦・丸岡戦(○1-1(PK4-1))で先発すると、3回戦の駒澤大高相手に先制点となるゴールを挙げた。チームは逆転を許し惜しくも敗退となったが、3年生になったいま、貴重な経験として残っている。「1年生のときは3年生に引っ張られていたのが大きかったです。(自分が)3年生でキャプテンになったときに、後輩に経験してもらえて、代々全国大会はこういう雰囲気だぞ、というのを受け継いでいけたらいいと思います」。
選手権出場がかなわなかった昨年度を経て、「いままで以上に練習はハードになった」。しかし、「それがあったからこそ、(県予選)決勝の厳しい時間帯で走りきれたと思います」とやってきたことが実を結んでいるという。「前からの守備、後ろからの粘り強い守備」「縦に速い攻撃」を「武器」(志摩)に、全国大会に挑む。「キャプテンとしてチームをまとめるのはとてもしんどかったんですけど、チーム全員でここまでこれたと思っています。初戦は絶対に勝ちたいと思います」。
星稜高と松山工高による1回戦は、12月31日、ゼットエーオリプリスタジアムで行われる。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 奥山典幸)▼関連リンク
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