「自分が原因じゃないか」7度の準優勝…悲願初Vの憲剛が葛藤告白
ゲキサカ / 2017年12月2日 21時4分
[12.2 J1第34節 川崎F5-0大宮 等々力]
夢にまで見た光景が目の前に広がっていた。試合後の優勝セレモニー。チームメイト、スタッフ、そして2万5094人の大観衆で埋まったスタンドのサポーターとともに初優勝の歓喜に包まれた。
「この景色を見るために1年間がんばってきたんだなと。僕は15年だけど」。川崎フロンターレのMF中村憲剛はそう自虐的に笑った。中央大卒業後の03年に入団。以来、川崎F一筋で15シーズン目を迎えた。
今季は秋まで4冠の可能性を残しながらACL、天皇杯は準々決勝で敗退。ルヴァン杯は決勝でC大阪に敗れ、4度目の準優勝に終わった。これまでJ1リーグ戦でも2位が3回。今年元日の天皇杯決勝でも鹿島に敗れた。実に8度の準優勝。“シルバーコレクター”という不名誉な異名も付いた。
「そう言われちゃうのは仕方がない」。8回の準優勝のうち7回を中村は経験している。「今年のルヴァン杯も決勝で負けて、自分が原因じゃないかというのもあった。自分しかこれだけ長くいなくて、毎回2位だったわけだから」。自らを責め、人知れず苦しんできた胸の内の葛藤を明かした37歳は「やっと(シルバーコレクターを)返上できて感無量です」と、喜びとも安堵ともつかない表情を浮かべた。
Jリーグチャンピオンシャーレは前節終了時点で首位に立っていた鹿島が試合を行うヤマハスタジアムにあったため、川崎Fの優勝セレモニーでは代わりにシャーレがプリントされたボードが授与された。キャプテンのFW小林悠とともにボードを高々と掲げた中村は「ちょっと紙みたいだったけど」と苦笑いしながらも、「それもフロンターレらしくていいのかな」と白い歯をこぼした。
試合終了の瞬間、ピッチに突っ伏して号泣していた姿はもうなかった。「(涙は)もう出ないよ。出し尽くした。あとは笑顔しかない」。涙のち笑顔。「15年間、追い求めていたのはこの景色だったんだな」。脳裏に焼き付いた光景の余韻にいつまでも浸っていた。
(取材・文 西山紘平)
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