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「リストには載っていない選手だった」J2松本スカウト、法大“元主務”DF武藤の獲得経緯明かす

ゲキサカ / 2017年12月6日 7時40分

左から長山一也監督、DF武藤友樹、江原俊行チーム統括本部スカウト

 来季より松本山雅FCに入団する法政大に所属するDF武藤友樹の会見が5日に行われた。会見には武藤、長山一也監督とともに松本の江原俊行チーム統括本部スカウトが出席した。

「実は武藤選手はシーズン当初、僕のリストには載っていない選手でした」。江原スカウトは武藤獲得に至るまでの経緯を説明した。

 武藤は右サイドを主戦場とする選手。昨年も現在ベガルタ仙台でプレーするDF永戸勝也と、法政大の両翼を担った。長山監督にとっては、4年前に監督就任以降、初めて4年間指導した秘蔵っ子。「右SBをやっているが左SBでもプレーできる。さらに一つ前のSHでもプレーが可能」とユーティリティー性が売りだと説明する。

 そんな武藤は今季、新チームが立ち上がると同時に主務を兼務することになった。一般的には主力選手が主務を兼務することはないが、法政大では伝統化しており、武藤は立候補してその職に就いた。

 しかし想像以上の負担になってしまった。リーグ戦のメンバー表作りや、遠征先の宿舎手配などに時間を取られることが多くなり、選手としての活動に大きく影響した。「自分は意識していなかったですけど、重荷になっていたのかなと思います」。

 このままではいけない。そう考えていたのは武藤だけではなかった。8月の総理大臣杯の直前、長山監督は武藤にプレーヤーに専念するように進言。これにより武藤もようやく吹っ切ることが出来た。

 その変化に驚かされたのが、江原スカウトだった。「総理大臣杯の(準々決勝)阪南大戦がターニングポイントでした。その試合を見て、『武藤ってあんな良かったっけ』と。僕がヴェルディのスカウトをやっているときに獲得した選手で、今は法政大のコーチをやっている井上平と話をしたんですけど、『実は主務外れたらすごくよくなったんです』という話を聞いて。そこから本格的に見させてもらうことになりました」。

 “あまり追いかけないで獲得する”というのは珍しいことなのだという。しかし反町康治監督は武藤の推進力を高く評価しているといい、江原スカウトも「Jリーグチームと練習試合をしている試合を見たんですけど、推進力は十分に通用していた。駆け引きだったりは成長していかないといけないが、先輩の永戸選手(ベガルタ仙台)同様、開幕スタメンを目指してほしい」と願いを込めた。

 また松本にとっては、世代交代も大きな課題になっていると話す。今季のJ2の中でスタメン11人の平均年齢が一番高く、平均29歳以上は松本だけなのだという。「今後の5年、10年と考えたときに、次の目標はJ1定着になる。若い力で底上げしてもらえるかが大事になってくる」。

 現在、武藤を含め、大阪商業大DF下川陽太、関東学院大DF森本大貴の3選手の入団が内定しているが、大学生はもう一人獲得することが決まっているという。さらに「補強ポイントは全部」と話したように、「補強に関してはいろいろ動いている。そこに関してはお待ちいただければなと思います」とも話す。

 今季、J2で8位に終わり、J1昇格プレーオフにも進むことが出来なかった。松本にとっては「過渡期」を迎えている。最後に江原スカウトは、反町監督の言葉として「ゼロからのスタート」を強調。「(来季は)少しフレッシュになるのかなと思っている。若い選手の台頭がないと、J1昇格は果たせない。武藤選手も競争意識をもってやってほしい」と期待を寄せていた。

(取材・文 児玉幸洋)●2018年Jリーグ移籍情報

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