「内容よりも結果で見せるタイプ」のFW上田綺世が先発デビュー戦で2ゴール。大ブレイクへの第一歩を刻み込む
ゲキサカ / 2017年12月12日 8時58分
[12.9 M-150杯 U-20日本代表 4-0 U-22北朝鮮代表 タイ]
「どんどん名前を売って、法政の上田綺世という名前をどんどん知ってもらえるように、こっから広げていければいい」
M-150杯の第2戦、森保ジャパンの初白星となったこの試合、2ゴールを挙げて4-0の勝利の殊勲者となった男は、さらりとそう言ってのけた。
決してメジャーな選手ではない。今回が全年代を通じて初めての代表招集。「(顔見知りは)平戸太貴(鹿島ユース出身だが、上田と同じ鹿島学園高卒)選手くらいで、後はほぼ全員初対面」という中での合宿入りである。
初日はさすがに緊張感も隠せない様子だった。同じ大学サッカー組でも「三笘(薫、筑波大)くんと旗手(怜央、順天堂大)くんは大学でも二大巨頭という感じの知名度の選手なので」と別世界の住人だと感じていたようで、オビ・パウエル・オビンナ(流通経済大)と小松蓮(産業能率大)は代表経験を持っていて顔見知りも少なくない。そこにギャップは感じていたようだ。こうなると萎縮してしまう選手も多いものだが、上田はちょっと違っていた。
「プロの中に混じれば自分に技術がないのは間違いない。でも元から僕は内容よりも結果で見せるタイプだと思っている」
ストライカーの価値を分かりやすく見せる手段はゴールである。第2戦、先発起用での代表デビューにおいて上田が考えていたのは「まず点を取ること」である。「高校時代は全部やらなければいけない感じで、中盤に顔を出すプレーも多かったですけれど、ここでそういうプレーは求められていないと思う。自分が一番得意なのも裏への抜け出しなので、まずそれを考えようと思います」と語っていたとおりのプレーを見せ付けることとなる。
開始15分、まずは「自分の個性」というゴールを叩き込む。左ウイングバックの浦田樹(北九州)のクロスに対して、しっかりした予備動作からDFの前に入ってのヘディングシュートを決めると、後半11分には最大の武器と自認するスピード感あふれる裏抜けからのゴールも奪う。味方が縦へのパス交換で揺さぶる中でタイミング良く飛び出すプレーで針谷岳晃(磐田)のスルーパスを引き出すと、相手DFをなぎ払いながらマイボールにしてのシュートを流し込み、決定的な4点目を記録してみせた。
「自分は国体選抜とかにも入ったことのない選手。その自分が違いを見せられるのは得点だと思う。ガムシャラにやるしかないし、自分の色を出してダメなら仕方ない」
話を聞いていても朴訥(ぼくとつ)で謙虚な印象が強いのだが、時折あふれてくるストライカーとしてのメンタリティは隠しきれないものがある。「自分はチャレンジャーなので」という言葉は、合宿初日の練習後と北朝鮮との試合後の双方で聞くことができた言葉だが、まさにそれを体現するようなプレーぶりだった。今季、法政大でブレイクを遂げた大学サッカー界のゴールデンルーキーが、日本サッカー界というステージでもブレイクを果たすかもしれない。
(取材・文 川端暁彦)●M-150杯 特集ページ
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