[MOM2349]磐田U-18 MF鳥羽隼(3年)_「借りを返すときが来た」2年越しの誓い達成へ突き進む先制点
ゲキサカ / 2017年12月15日 22時6分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.15 高円宮杯プレミアリーグ参入戦1回戦 広島皆実高 1-4 磐田U-18 広島一球]
あのとき見た光景は、忘れない。2年前、あと一歩でプレミアリーグ昇格を逃した悔しさを知る男が、再挑戦の第一歩となる先制点を決めた。
高円宮杯U-18サッカーリーグ2017プレミアリーグ参入戦の1回戦が15日に行われ、ジュビロ磐田U-18(東海2、静岡)は4-1で広島皆実高(中国1、広島)を下した。参入戦は、全国9地域のプリンスリーグ上位チームが出場。4チームずつ4組に分かれてトーナメントを行い、来季のプレミアリーグ(EAST、WEST)への昇格権を争うもの。磐田U-18は、17日に行われる決勝戦で前橋育英高(関東1、群馬)に勝てば、来季のプレミアリーグ参入が決まる。
試合を優位に進めるためには、先制点が重要だ。決めたのは、ボランチの鳥羽隼(3年)だった。前半9分、左CKを2年生CB平松航がニアで反らすと、ファーに詰めた鳥羽がゴールへ押し込んだ。
まさに狙い通りの連係だった。2年前の悔しさを込めて臨んだ一戦だ。磐田U-18は、2011年から始まったプレミアリーグで過去4度参入戦に出場。しかし、まだ一度も勝ち上がったことがない。直近は2年前。1回戦を突破したが、決勝戦で神戸弘陵高に敗れて涙をのんだ。
当時1年生の鳥羽は、出場機会を得られなかったが、試合をベンチで見守っていた。「覚えていますよ。ずっとベンチで見ていました。絶対に自分たちの代ではプレミアに上がろうと思いました。借りを返すときが来たと思っていました」と2年越しの再挑戦にかけている気持ちを明かした。
先制点を奪った後も、豊富な運動量を見せて攻守に貢献した。「立ち上がりに点が取れたけど、点を取った後が大事なので、もう一度守備から入った」と話した通り、守備の貢献度は高かった。攻撃で決定的な仕事をする場面は先制ゴール以降ほとんどなかったが、後半に入ると、17分に左サイドを駆け上がり、縦パスを受けてクロスを供給。MF中村竜のヘディングシュートにつなげた。
広島皆実の監督や主将が嫌がっていたのは、磐田U-18の中盤だ。攻撃の起点となっていたのは、鳥羽とダブルボランチを組む中岡駿汰の方だったが、鳥羽がバランスを保ち、ボールを失った後も奪い返す作業に素早く移っていた部分の貢献度も大きかった。
ただ、1回戦を勝っても、決勝戦で負ければ2年前と同じ結果になる。中1日の連戦で前橋育英高(関東1位)を破るまで気を抜けない。鳥羽は「過去、どんなに強い世代も上がっていない。強いだけじゃ上がれない。全力以上の物を出さないといけないので、死に物狂いでやりたい」と気を引き締め直した。5度目の挑戦でチームの悲願を達成する――。この日の先制点は、その第一歩に過ぎない。
(取材・文 平野貴也)●高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグ
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