初出場の東国大が3点先取で逃げ切りベスト8進出!阪南大は終盤追い上げるも1点及ばず

　すると後半16分、東国大は町田が圧倒的な個の力を発揮する。前半から持ち前のフィジカルで最前線に張り、ボールキープに努めてきた町田。古島からのロングフィードを進がヘディングで上げると、前田秀樹監督も「あれが彼の一番の良さ」と語る競り合いでの強さを見せ、最前線で町田がボールを奪取する。そのまま独走してPA内に進入し、GK渡邉健太郎(4年=愛媛ユース)をかわすと、無人のゴールに3点目を流し込んだ。

　3点差をつけた東国大だが、途中出場の高橋が後半17分に2回目の警告を受けてしまい退場処分に。また同27分には再び町田が最終ラインを突破し、PA内で途中出場のFW宇高魁人(1年=長崎総合科学大附高)にパス。しかしゴール前の宇高は枠内に入れられず、ダメ押しの4点目を決められなかった。

　数的優位に立った阪南大は少しずつ流れを引き寄せ始め、後半29分にはDF真瀬拓海(1年=市立船橋高)に代えてDF岡部拓実(4年=正智深谷高)を投入。すると同33分、PA右手前から山口一が放ったクロスに岡部がヘディングシュートを放つがゴール右ポストに直撃し、跳ね返ったところを岡部がかろうじて押し込んで、阪南大が待望の1点を手に入れた。

　1-3とリードを縮めて盛り返す阪南大は後半38分、左サイドの脇坂がクロスを上げ、ファーサイドの山口一が右足ボレーを放つがクロスバーに当たってゴールを越える。同39分には中盤左から脇坂が強烈なミドルでゴールを狙うが古島の正面でキャッチされた。すると、阪南大の諦めない姿勢が試合終了間際に実を結ぶ。

　後半アディショナルタイム1分過ぎ、渡邉のロングフィードから中盤で岡部が拾って右サイドを走る重廣に優しくパスを送る。受けた重廣はドリブル一直線でPA右に進入し、右足を振り抜いてゴール左に流し込み、土壇場で2-3と点差を1点にした。残り1点に盛り上がる阪南大の選手たちだが、時間は無情に過ぎてタイムアップ。東国大が3-2で阪南大を破り、準々決勝に駒を進めた。

　阪南大の須佐徹太郎監督は「失点が簡単すぎた」と語る。前線で体を張り続けた町田に対して「前線でやられすぎだった。1点目のCKも19番(町田)の頑張りから生まれていた」と失点の場面を振り返り、「前半のうちに決めるところを決めないと、こうなっちゃうよね」と持ち前の攻撃力が生かせなかった点も敗因として挙げた。

　一方、勝利した東国大の前田監督は「少ないチャンスで2点を取れたのが大きかった」と序盤の2得点を勝因に挙げる。後半17分から数的不利になったものの、「うちの中盤は技術はないけど、石田なんて陸上に行ったほうがいいんじゃないかってくらい運動量があるので、そこの修正はできていた」と10人での戦い方を実践していたという。

　初出場でベスト8進出の快進撃を達成した東国大は18日に筑波大との対戦となる。「どう対策をしていくかちょっと考えたい」と気持ちを切り替えた前田監督。準々決勝進出を予想していなかったらしく、「明日納会なんですよ…まさかここまで来るとは」と笑顔で快挙を喜んだ。

(取材・文　石川祐介)●第66回全日本大学選手権(インカレ)特集