[MOM2356]FC東京U-18DF長谷川光基(3年)_悪夢のPK乗り越えて、栄冠呼び込む劇的V弾!
ゲキサカ / 2017年12月18日 6時30分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.17 高円宮杯チャンピオンシップ FC東京U-18 3-2(延長) 神戸U-18 埼玉]
2失点目を招いた悪夢から97分後、若き青赤軍団の背番号4は歓喜の中心にいた。高校年代の年間王者を決める大一番で“地獄”と“天国”を味わい尽くした18歳が、クラブ史上初の栄冠をたぐり寄せるヒーローとなった。
高校3年生にとっては「引退試合」となる高円宮杯チャンピオンシップ。そんな節目の一戦を迎えたFC東京U-18DF長谷川光基(3年)を最後の最後に待っていたのは、思いのほか大きな試練だった。
1点ビハインドで迎えた前半33分、浮き球のパスに裏を取られた長谷川は相手FW佐々木大樹を後ろから倒し、PKを与えてしまう。これを落ち着いて決められ、点差は2点に広がった。「これで負けたら自分のせい。メンタル的に危ない状況で崩れそうだった」と、挽回の意気込みよりも悔しさが頭の中を支配していた。
しかし、試合を折り返すハーフタイムが救いとなった。ゲームキャプテンを担ったDF篠原新汰(3年)が「気にすんな気にすんな」と笑顔で肩を叩くと、佐藤一樹監督はチームに「こんなもんじゃないだろう!」と気合いを注入。そんな前向きな雰囲気を前に、沈んでばかりもいられない。「気持ちがリセットされて、やらなきゃという気持ちになった」(長谷川)という。
そして後半、FC東京U-15深川時代から共にプレーしてきたチームメートが、ミスを帳消しにしてくれた。後半2分、MF品田愛斗(3年)がPKを決めると、同8分にはFW吉田和拓が気持ちのこもったヘディングで同点弾。「負けない時のムードってあるんですけど、『これは行けるな』という雰囲気になった」と気持ちは自然と持ち直していた。
試合は90分間では決着が付かず、苦しいピンチもありながら、しぶとく跳ね返す場面が続く展開。そんな延長前半終了間際、いよいよ挽回の時がやってきた。ピッチを退いた品田の代わりにCKキッカーを務めたDF岡庭愁人が柔らかいボールを蹴り込むと、ゴール正面に潜り込んで豪快にヘッド。これが綺麗にネットを揺らし、ついにスコアをひっくり返した。
「頭の中が空っぽになるくらいうれしくて、夢のような空間だった」。自らを指差すパフォーマンスで激しく喜びを表現すると、真っ先にベンチのメンバーの元へとダッシュ。「得意のセットプレーで得点に関われていなかったので、大舞台で取れればラッキー」と事前にゴール宣言をしていたという佐藤監督とも歓喜の時を共有した。
そこからは本来の役割である守備に注力する番。「1個1個のプレーが失点に直結すると分かっていたので、失点のリスクを少しでも減らす」べく、ラインを上げて攻めに出る相手の背後にクリアボールを展開し続け、決定的なピンチのないままタイムアップのホイッスルを迎えることができた。
「自分が失点にかかわって、そこから逆転できるという試合は経験したことがなかった。しかもこんな大舞台で……」。濃密な一戦を感慨深げに振り返った長谷川は「まあ、失点は良くないんですけどね」と照れ笑いも。それでも次のステージを見据えて、「この経験を財産にしたいです」と心に深く刻み込んだようだ。
(取材・文 竹内達也)▼関連リンク
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