[MOM2359]富山一MF高縁海(3年)_プレミア復帰に導く2ゴール、エース封じに奮闘した“富一のダイナモ”
ゲキサカ / 2017年12月18日 11時33分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.17 高円宮杯プレミアリーグ参入戦決勝戦 富山一 4-1 三菱養和SCユース コカ広島ス]
富山一高(北信越1、富山)のトップ下を託されるMF高縁海(3年)は、決して上手い選手ではない。長所は足元の技術ではなく、昨年、学校のマラソン大会で優勝したほどのスタミナ。「あれだけ走り回れる選手はなかなかいない。一生懸命、走り回れるところを評価している」と大塚一朗監督が称えるほどの走力で、2列目を所狭しと動き回り、チームに勢いとダイナミズムを与えるのが彼の役割だ。
堅守からのカウンターを狙ったこの試合でも彼の運動量は発揮される。守備では、相手のキーマンであるU-17日本代表のFW中村敬斗(2年)封じに奮闘し、「前を向かせないことを意識していた。後ろ向きでボールを貰った時に、どんどんガツガツ行って、中盤が挟んで獲ろうというのを狙っていた」。前半こそは前を向かせる機会が多く、狙い通りに奪える機会が少なかったが、後半はチーム全体で相手の持ち味を上手く消し、シュートを0本に抑えた。
攻撃では、「大竹(将吾)と坪井(清志郎)にマークがつくのは分かっていた。2トップが警戒されると、(トップ下の)前田と俺が活きるというのは話していた」と振り返るように、警戒網が敷かれた2トップの隙を突くため、チャンスと見れば前線へと猛ダッシュ。狙い通り、後半1分にDF高浪陸(3年)が右サイドから放ったシュートのこぼれ球を拾うと、ミドルシュートを叩き込んだ。
「ここで打つか!?というようなミドルシュートが好き。見ていてドキドキワクワクする」というフランス代表のMFポール・ポグバを彷彿とさせる一撃を決めて勢いづくと、後半15分にもFW坪井清志郎(3年)が右サイドを仕掛けたのを確認すると、「坪井なら、良いボールをくれると思っていたので走り込んだ」とゴール前に飛び込み、ヘディングシュートを決めた。
この日の自身2点目は試合の行方を決定づける貴重な一撃。試合後は、「後輩にプレミアを戦ってもらえたらいいなと思っていた」と後輩たちにとっておきのプレゼントができたことを喜んだ。
今年に入って定位置を掴んだ高縁は、「たぶん、僕が一番監督に怒られていると思う」と本人が口にするように、プレーの精度アップを求められたり、カッとなりやすい心の問題を指摘されることが多かったという。ただ、「言われることを意識することで、最初の頃と比べてミスも減ってきた」と続けるように、指揮官が口酸っぱく指導してきたおかげで今の高縁がある。
感謝の気持ちを示すべく、1点目を決めた直後は「点を決めたら、監督のところに行こうと思っていた」とベンチで待つ大塚監督の下へと一直線で向かい、飛びついた。しかし、大塚監督が「いつも怒られているから、『どうだ!』という意味で俺のところに駆け寄ってきたんだと思う」と笑ったように、想いは伝わっていなかったが、彼の愛される性格や、指揮官との関係性の良さは2人の言葉からよく伝わってきた。
「順当に行けば、東福岡とか前橋育英と当たる。最初は不安もあったけど、これをきっかけに頑張って力をつけて倒したい。今日の勝ちは自信に繋がる」。そう口にしたように、4年ぶりのプレミア復帰を引き寄せる勝利は、全国選手権にも必ず活きるはず。全国の舞台でも、攻守両面で躍動する高縁の姿が見れるだろう。
(取材・文 森田将義)●高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグ
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