「悔いを残すな、名を残せ!」…初出場で新潟県勢最高タイの8強、日本文理が過ごした“冬”
ゲキサカ / 2018年1月5日 21時55分
[1.5 全国高校選手権準々決勝 日本文理 0-1 矢板中央高 駒場]
「悔いを残すな、名を残せ!」――。全国初出場ながら快進撃を続けてきた日本文理高の冬は、新潟県勢最高タイのベスト8という結果で幕を閉じた。昨冬に決めたスローガンを表すかのように、故郷と学校の歴史に“名”を刻んだこの1年。主将のDF長谷川龍一(3年)は「シーズン前には想像できませんでした」と噛みしめるように振り返った。
「少しは名が残ったのかな……と思います」。これまでチームを引っ張ってきた主将は矢板中央高戦の試合後、やや迷いも残る口調でこの1年間を総括した。冒頭の言葉は、チームの横断幕や立て旗に記された今季のスローガン。新チームが発足する際に、「悔いを残したくない」という強い思いから、みんなで決めたものだ。
そんな目標は言霊のように、今季のチームを象徴するテーマとなった。新潟県総体で初優勝し、初めて全国への扉を開いた夏。県選手権で名門の開志学園JSC高を下して、選手権という大舞台に初出場を決めた秋。そして、常連校を3連破して県勢最高タイの8強進出を果たした冬。まさに“名を残し続けてきた”1年間だった。
もっとも、主将の言葉からは、残ってしまった“悔い”も感じさせた。「失点シーンは心残りです。あと1点を取れなかったことも……」。最終ラインの要として防げなかった先制弾、後半アディショナルタイムに決め切れなかったロングスローの猛攻。3回戦を勝ち抜いた得意のPK戦まであと一歩に迫っていただけに、紛れもない悔しさが心の中に残った。
とはいえ、「残る」ということは悪いことばかりではない。「自分たちは初めて全国に来て、先が見えなくて手探りだった。後輩たちには自分たちが築いた“文理スタイル”にプラスアルファして、もっと良い結果を残して欲しい」(長谷川)。そんな悔しさは、次の世代の“基準”となって受け継がれていく。
そしてそれは、主将が「1つの目標としてきた」という野球部の存在にも当てはまる。6点ビハインドの9回裏2死走者なしから5点を奪ったことで『日本文理の夏』として記憶に残る2009年の甲子園準優勝は、5回目の出場でなし遂げたもの。「野球の部分以外でも模範になっている」(長谷川)という立ち位置は、歴史によって形作られたものだろう。
「少しは名が残ったのかな……」という歴史は築いた。そして「もっと上に行きたかった」という悔いも残った。「自分たちが作った成績を越えていってほしい」(長谷川)――。全国区の強豪校になるべく名乗りを上げた日本文理の挑戦は、まだ終わらない。
(取材・文 竹内達也)●【特設】高校選手権2017
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