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「スポーツライター平野貴也の『千字一景』」第65回:セカンドチーム優勝の余波(東北高校新人選手権大会)

ゲキサカ / 2018年2月1日 7時5分

「スポーツライター平野貴也の『千字一景』」第65回:セカンドチーム優勝の余波(東北高校新人選手権大会)

“ホットな”「サッカー人」をクローズアップ。写真1枚と1000字のストーリーで紹介するコラム、「千字一景」

 高校年代のサッカーの大会に関心を持つ人ならば、昨季はこんな声を聞いたかもしれない。

「プリンス東北は青森山田のBチームが優勝するレベルかよ」

 最高峰のプレミアリーグに所属する青森山田高は昨季、一つ下のカテゴリーであるプリンスリーグ東北をセカンドチームで制した。仙台、山形といったJユースや東北各県の高校王者クラスが参戦しているリーグを16勝1分1敗という文句なしの成績で優勝したのは、立派だ。ただし、相手チームにとっては、冒頭のような言葉を言われかねず、悔しさの募る結果となった。

 いまや、東北地方のチームにとって、青森山田は近くて遠い存在になりつつある。同じ東北地域に所属するが、トップチーム同士で戦うには、全国大会で勝ち進まなければいけなくなった。秋と冬に東北地域の大会があるが、青森山田は秋の大会にセカンドチームを出場させるため、全国大会以外で対戦できるのは、シーズン始めの東北高校サッカー新人選手権大会のみ。昨季も、多くのチームの選手が「青森山田を倒したい」と話して臨んでいたが、セカンドチームにリーグ戦のタイトルを獲られた後の今季は、傷つけられたプライドが闘志をさらにかきたてていた。

 青森山田と対戦した3チームは、いずれもよく食らいついた。初戦では新屋高(秋田)が右偏重のサイドアタックで何度も襲い掛かった。準決勝では、開催地枠で出場した宮城県大会2位の仙台城南高が延長戦に持ち込んで善戦。PKで失点した後にPKを奪い返すシーンもあったという。決勝戦では、尚志高(福島)が退場者を出しながら一歩も引かずに応戦して意地を見せた。大会は、青森山田が3年ぶり5度目の優勝を飾ったが、各チームが負けずと食らいつく姿勢を見せていたことが印象的だった。

 同じ高校生で大きな差がないから、セカンドチームでも優勝が可能になる。逆を言えば、プレミア所属チームへの挑戦もまた可能だ。ただ、食らいつかなければ、置いて行かれるだけになる。昨季、プリンス東北で2位となってプレミアリーグ参入戦に出場したが敗れた尚志の仲村浩二監督は「ハッキリ言って、青森山田のセカンドに優勝されているようでは(プレミアに)絶対に上がれない。ぶっちぎって勝たないとダメ。それは、選手にも伝えてある」と語気を強めた。あくまでも標的はトップ。そのためには、セカンドに負けてはいられない。青森山田セカンドの優勝は、東北のライバルを強く刺激している。

■執筆者紹介:
平野貴也
「1979年生まれ。東京都出身。専修大卒業後、スポーツナビで編集記者。当初は1か月のアルバイト契約だったが、最終的には社員となり計6年半居座った。2008年に独立し、フリーライターとして育成年代のサッカーを中心に取材。ゲキサカでは、2012年から全国自衛隊サッカーのレポートも始めた。「熱い試合」以外は興味なし」
▼関連リンク
スポーツライター平野貴也の『千字一景』-by-平野貴也

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