「東京五輪への推薦状」第55回:成長力と天賦の身体能力を兼ね備える「恐るべき天然素材」、大津CB吉村仁志
ゲキサカ / 2018年2月20日 7時45分
2020年東京五輪まであと2年。東京五輪男子サッカー競技への出場資格を持つ1997年生まれ以降の「東京五輪世代」において、代表未招集の注目選手たちをピックアップ
「何者なんですか、あいつは」
そんな話を大津高の首脳陣にぶつけてから1年が経つ。ちょうど1年前の九州高校サッカー新人大会、途中出場の1年生“FW”は東福岡高相手に土壇場の同点ゴールを決めて、PK勝ちへと繋げる活躍を見せていた。185cm近い長身に加えて「全身バネ」(平岡和徳総監督)と評される圧倒的な運動能力が強く目を惹くと同時に、ボールを持てば少々不器用な印象も否めなかった。その素材感には誰もが太鼓判を押すものの、完成度の低さも折り紙付き。「本当にヘタクソでした」と本人も苦笑いを浮かべる、大津DF吉村仁志(2年)はそういう選手だった。
出身の宇土中は“あの”植田直通を輩出したことで知られる学校で、吉村も小学校のころからその強烈な存在感に惹かれ、中学で「俺も大津に行きたい!」と願うようになったのは植田の存在が大きかったと言う。平岡総監督も「ほとんどまっさらな状態で入学してきた選手で、すぐに植田のことを思い出したよ」と笑って言う。教え込まれてきた選手ではない天然素材だが、身体能力とは別に、誰にも負けない資質も持っていた。人の話に耳を傾ける力、“傾聴力”である。
「吸収力があるんです。聞く耳を持っていて学ぶ意欲がある。できることがどんどん増えてきている」(古閑健士監督)
昨年はDFとして高いレベルでのプレー経験が乏しい中で、高円宮杯プレミアリーグという荒波も経験。「対戦相手がみんな上手くて、観て学ぶこともあったし、やられて学ぶこともあった」と、身体能力だけでは通用しない世界に触れながら、自身のプレーを着実にブラッシュアップしてきた。元より自信があったヘディングにもさらに磨きがかかり、「絶対に負けない自信がある」という言葉どおりにセットプレーでは脅威的な破壊力も発揮するようにもなった。
幼少時には野球、中学時代にはバスケットボールやテニスも経験し、水泳もずっとやっていたというスポーツ万能タイプ。バスケットで学んだ切り替えのスピード感やリバウンドの競り合いでの予測や体の使い方などもサッカーに応用しているそうで、スポーツ選手としての基礎的な能力の高さは、こうした幅広い経験から生まれているようだ。
足元のプレーはまだまだ上手くはないのだが、入学当初に比べたときに、その進歩は周囲も広く認めるところ。「前は足でクリアに行くとボールがピッチの中に落ちなかったですけど、今は違いますからね」と古閑監督は冗談めかしながら、継続してきた努力とその成長ぶりを称える。
先日、イタリア遠征を行った『NIKE NEXT HEROプロジェクト』での刺激も大きかったようで、帰国後の変化はコーチ陣も周りの選手たちも感じており、本人も意欲の高まりを隠さない。遥かにキャリアのある選手たちから多くのアドバイスも得たようで、その助言を素直に実践してきた。
九州新人大会を観戦していたJリーグのスカウトからも存在を認知されるようになってきた。1年前からすると考えにくかった話ではあるのだが、『日の丸』を付ける日も夢物語ではなく、一つの目標と言える段階へなりつつある。素直さと前向きさに裏打ちされた成長力と天賦の身体能力を兼ね備える大型センターバックが、高校生活の残り1年でどこまで伸びるのか。あらためて楽しみになってきた。
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