[新人戦]雨中でファイトし、大津苦しめた大分工。九州大会4戦5発のエース矢野中心に全国復帰目指す
ゲキサカ / 2018年2月22日 20時14分
[2.19 九州高校新人大会準々決勝 大分工高 1-3 大津高 宮崎県総合運動公園球技場]
今年の九州高校新人大会で周囲を驚かせるような戦いを見せたチームだ。大分県第2代表として出場した古豪・大分工高は、沖縄県第1代表・那覇西高との予選リーグ初戦をエースFW矢野達也主将(2年)のハットトリックの活躍によって3-0で快勝。続く宮崎県1位の日章学園高戦は後半残り4分からの連続失点によって逆転負けを喫したものの、創成館高(長崎2)との予選リーグ最終節を1-1で引き分けて、ブロック2位で目標の決勝トーナメント進出を果たした。
友成義朗監督が「去年から前の一枚と両SH、ボランチも出ている。ある程度、点は取れると思っていた」という通りに攻撃力を発揮し、毎試合得点を重ねて混戦ブロックを突破した。そして優勝校・大津高(熊本1)との準々決勝では、雨中で各選手がファイト。相手のパスワークに対して、出足良く距離を詰め、前に強いCB島津悠揮(2年)やMF友成司(2年)らが身体を張ってボールを奪うなど大津に思うような攻撃をさせなかった。
0-0で迎えた前半24分には矢野の左FKをニアサイドへ飛び込んだFW高野康巳(1年)が頭で合わせて先制点。大津に攻め込まれ、危ないシーンも作られていたが、常に守勢だった訳ではない。アグレッシブな守備でボールを奪うと、MF明石龍弥(1年)らがDF間にポジションを取りながら丁寧に繋ぐパスや、スピードのある右SH塩田ヒロト(2年)と左SH後藤滉稀(2年)の両翼の仕掛け、矢野のポストワークや精度高い右足キックなどから攻め返していた。
集中した戦いを見せていた大分工は後半20分まで1-0でリード。だが、大津が後半9分に投入した187cmFW大﨑舜(2年)や182cmCB吉村仁志(2年)の高さに屈し、セットプレーで3点を奪われて逆転負けに終わった。今大会は6失点全てが後半に喫したもの。「ガチャガチャしたところで足が出ない」(友成監督)という部分や相手のパワーある攻撃への対応など、課題が失点に繋がった。
それでも、強豪相手の4試合で学んだことは多い。明石は「大津は失点しても気持ちの部分でずっと集中していて最後まで全員でやれていたけれども、自分たちは最初のセットプレーでやられた時から気持ちの部分でちょっと下がってしまった。(個人的には)トップに入った時に動き出しがまだまだ遅くて、トップの選手が孤立したりしていた。守備の部分で球際の強さだったり、トラップの置き所がまだまだ低いので、もうちょっと上げていきたい」と九州トップレベルの相手から学んだ部分を改善することを誓っていた。
また、九州大会で計5得点を挙げて知名度を上げた矢野は「全試合得点もできましたし、攻撃に関しては結構九州でも通用する部分があったんじゃないかと思います」と語った一方、「こういう試合(敗れた大津戦)で勝ち切るためには自分は10番、キャプテンを任されているので試合を決定づけられるようなゴール、追加点を獲れないといけないと思います」。競った試合でより得点できるFWを目指していく。
インターハイに12度、選手権も11度の全国大会出場を果たしている大分工だが、インターハイは87年度、選手権も92年度を最後に出場することができていない。それでも、この九州大会で力を示した選手たちが今年、新たな歴史を刻むチャンスは十分にありそう。矢野が「みんなファイトできる仲間たちですし、気持ちも弱くない」というイレブンが今年、大分を突破する。
(取材・文 吉田太郎)
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