焦燥感に駆られる本田「だれが本来以上の力を出せたのか」
ゲキサカ / 2018年3月28日 5時5分
[3.27 キリンチャレンジ杯 日本1-2ウクライナ リエージュ]
その表情は憮然としていた。昨年9月5日のW杯アジア最終予選・サウジアラビア戦以来の先発となった日本代表FW本田圭佑(パチューカ)は「悔しいけど、内容、結果ともに向こうに上回られた」と完敗を認めた。
右ウイングで先発し、力強いポストプレーで起点となり、タメをつくった。しかし、最後の局面で顔を出すシーンはわずか。前半6分にはMF柴崎岳のパスからスペースに走り込み、ゴール前に折り返したが、FW原口元気のシュートはミートせず。なかなかチームとして攻撃の形をつくれないまま、後半19分にベンチへ下がった。
「負けた以上、満足できないけど、正直、もうちょっとやりたかった。向こうはあれだけサイドバックを走らせて、後半は(運動量が)落ちるやり方をやっていた。サッカーは90分で考えないといけないし、最初の布石がより生きてくる中での交代だった」
途中交代に悔しさをにじませながらも、「(監督に)もっと見てみたいと思わせられなかったのは自分に非があるのは分かっている」と、W杯メンバー入りへ当落線上にいる中、目に見える形でアピールできなかったことは理解している。ただ、それ以上に本田が疑問視するのはチームとしての戦い方だ。
「一つひとつのプレーの選び方が、より個をさらけ出すようなプレースタイルになっている。それを消して、チームでうまくカバーするには、ゲームを支配することが大事だと思っている。ただ、それがチームのやりたいことかと言われると、明らかに違う。融合みたいなものをもう少し見つけられれば……」
自分の考えと明らかにマッチしないチームの戦術。その言葉からは不安にも近い危機感がうかがえる。「個をもっと伸ばしていかないといけないのは大前提」だが、どうしても世界に比べれば劣る“個”を補うのが組織であり、戦術であるはずだが、そうした日本が得意とする部分が見えてこない。むしろ個の弱さを露呈するようなサッカーになっていると本田は指摘する。
「(日本に)もっといいプレーができる選手がいるのは事実。“個”以外のものが“個”を引き立たせるという部分もあるはずなのに、それができていない。だれが(今日の試合で)本来以上のパフォーマンスを出せていたのか」。見えてこないチームの形に焦燥感ばかりが募った。
(取材・文 西山紘平)
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