ひたむきに走り、迷わずにゴールを目指すこと。苦悩の選手権得点王FW飯島は初心に戻って再スタート
ゲキサカ / 2018年4月4日 16時54分
[4.2 デュッセルドルフ国際ユース大会決勝 ボルシアMG 1-2 日本高校選抜]
日本高校選抜の最注目ストライカーは、優勝の喜びの中で複雑な表情を浮かべていた。全国高校選手権で7得点を挙げて得点王に輝いたFW飯島陸(前橋育英高→法政大)は、第56回デュッセルドルフ国際ユース大会決勝戦で試合終了2分前から出場。満足にボールに絡むことができないまま試合終了の瞬間を迎えた。
大喜びする仲間の中でその笑顔は控えめ。ゴールを量産するつもりで臨んだ大会で無得点に終わった悔しさが喜びを大きく上回っていた。「悔しさしかないというか、情けなさというか、いつもとは違う悔しさがありますね」。10番は、大会を終えて自分に足りないものがあったことを理解していた。
高校選手権後にU-19日本代表に初選出され、日本高校選抜でも大学生など相手にゴールを決めていた。チームのエースとして期待された今大会、予選リーグ初戦から先発起用され、スペースへの抜け出し、ドリブルでの仕掛けからゴールを目指した。
だが、なかなかパスの出し手との呼吸が合わず、またドリブルに対応してくる外国人DFの攻略にも手間取った。1人かわすことができても、簡単にクロス、シュートを打たせてはくれない。少ないチャンスで仕留めることもできなかった飯島は、予選リーグ第3戦以降の4試合中3試合でベンチスタート。チームのために献身的に走り続けるFW佐藤颯汰(日章学園高→北九州)とFW荒木駿太(長崎総科大附高→駒澤大)にポジションを奪われることになった。
自分が情けない、と感じたのはプレー以外の部分だった。「上手くいかない時に周りに声を掛けてくれる人とかもいたんですけれども、そういう人への対応も自分はいい態度で対応とかできていなかったですし、今、自分は人間性の部分がダメだと感じている」。準決勝の試合直前、ベンチスタートで表情の暗い飯島に対して入場前のMF田部井涼主将(前橋育英高→法政大)が声を掛けに行くシーンがあった。気持ちを必死に切り替えてピッチ外から仲間に声をかけていた飯島だが、準決勝は出番がなく、決勝も出場時間はわずか。思いをピッチ上で爆発させられなかった。
ゴールを奪うためにはここぞのところで力を発揮しなければならない。得点にこだわるが故に彼の良さは消えていた部分があった。今大会の自分と、最後に貴重なゴールを挙げたFW佐藤颯やFW荒木と違っていたこと。「最後頑張ってやっている選手が結果残すんだな、そういう選手が信頼して使ってもらえるんだな、と改めて感じさせられたというのもある。自分が真剣にやっていない訳ではないけれども、そうやって下から這い上がっている選手が結果出すのかなと思いました。自分もそういう選手だったので、初心に戻ってやらないといけないと思います」。
結果が出ない時もひたむきにチームのために走り、ゴールを目指し続けたことが選手権での爆発に繋がった。迷うことなく自分のやるべきことを貫けば、世代屈指のアタッカーはまた輝くはず。ドイツでの苦悩の時を経て、“初心に戻る”ことを誓った飯島が過去の栄光を捨てて大学サッカーに全力で挑戦する。
(取材・文 吉田太郎)●2018日本高校選抜欧州遠征特設ページ
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