一体なにが問題だったのか? ブンデスの『ビデオ判定騒動』、現地紙は主審に直撃インタビューも
ゲキサカ / 2018年4月17日 19時34分
16日に行われたブンデスリーガ第30節のマインツ対フライブルク戦で、今季から試験導入されているビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の課題が新たに浮き彫りとなった。今回の出来事について、ドイツ紙『キッカー』は主審へのインタビューを行ったほか、ルールを参照したうえで分析を加えている。
“事件”が起きたのは前半終了間際。右サイドを駆け上がったマインツDFダニエル・ブロシンスキのクロスを、フライブルクDFマーク・オリバー・ケンプフがブロックした。その後、主審はハーフタイムを告げる笛を吹いたが、ケンプフにハンドリングがあったとして、マインツにPKが与えられた。その時すでに両チームの選手たちはピッチを退いていた。
この判定を受け、すぐさま22人がピッチ内に戻り、両チームサポーターがざわめく中でPKを実施。MFパブロ・デ・ブラシスがきっちり沈め、スコアは1-0とした。試合は後半にも1点を加えたマインツが2-0で勝利したが、この試合を裁いたグイド・ヴィンクマン主審にとって本当の戦いはそこからだった。
前半45分間だけとはいえ、終了を告げるホイッスルが鳴った後に判定が覆るのは異例の出来事。キッカー紙は主審に直撃インタビューを敢行している。「これまで起こったことはなかったが、常に新しいことが起こりうる」。やり取りは真夜中すぎに行われたというが、誠実に応答したヴィンクマン主審はそのような弁明を口にしたという。
また、同紙は本件に関する別の記事を投稿している。そこでは「PKを与えること、イエローカードを提示することは合理的な判断」と述べ、ウインクマン主審の判定を擁護。もっとも、これはハンドリングの場面に限った話。争点は「どの段階までVARによって判定を覆して良いのか」という部分に移っていった。
国際サッカー評議会(IFAB)が定めるVARに関する規則では、『13条8項』に該当の条文が記載。「ハーフタイム、タイムアップの笛が吹かれた後に、試合を動かすような明白かつ決定的な判定ミスがあった場合はどうする?」といった項目だ。そこでは「VARは副審と同じ」としたうえで、「主審がフィールドを出ない限りは行動を起こすことができる」とされている。
そこで気になるのは今回の件。キッカー紙によると、すでにタッチラインを横切ったことは確認されていたが、フィールドを抜けきっていたかどうかを「検証するのはほぼできない」としている。すなわち、真相は闇の中。「DFBスポーツ裁判所の案件となる可能性もあるだろう」と述べている。
ロシアW杯でも導入されることが決まったVAR。正確性は人力に比べて大幅に向上している一方、判定までにかかる時間、介入の頻度、プレイヤーにとっての不明確さなどが問題となっている。そこで発生した今回の事件。デジタル判定と向き合うことの難しさがあらためて示される機会となった。
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