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ベンゲル監督アーセナル退任、同時に消える“前所属名古屋”

ゲキサカ / 2018年4月20日 19時34分

名古屋を率いたアーセン・ベンゲル監督

 前所属名古屋グランパスエイト。アーセン・ベンゲル氏が22年間掲げてきた経歴だ。アーセナルは20日、ベンゲル監督の今季限りでの退任を発表した。

 名古屋にやってきたベンゲル監督は当時46歳。母国フランスのモナコを欧州を代表するクラブに育て上げた実績を持ち、7年間指揮したモナコを離れる際には、バイエルンを指揮する噂もたった。

 しかし新天地として選んだのは極東Jリーグの名古屋だった。当時はJリーグの中でも“お荷物クラブ”と揶揄されるほどの弱小クラブで、MFストイコビッチらがすでに在籍していたにも関わらず、前年の第2ステージにあたるニコスステージは最下位で終えていた。

 ベンゲル監督をしても就任当初は不振を抜け出せず、開幕7試合を1勝6敗。その1勝もPK戦で挙げたものだった。しかし5月半ばから6月半ばまでの中断期間に行ったフランスでのキャンプが大きな転機となる。

 そのキャンプはのちに“伝説のフランスキャンプ”と呼ばれ、キャンプ期間中に当時の世界最高選手、同年12月にバロンドールを獲得する“リベリアの怪人”ジョージ・ウェアがベンゲル監督を訪ねてきたことで、名古屋の選手たちを驚かせたというエピソードは有名だ。

 戦術を叩き込まれ、ベンゲル監督のもとで団結したチームは、劇的に生まれ変わる。負け続けた序盤戦がうそのように、再開後は6連勝、1敗をはさんで7連勝を達成するなど快進撃をみせる。ヴェルディ川崎との直接対決に勝てなかったこともあり、ニコスシリーズは2位だったが、翌96年1月1日に行った天皇杯決勝でサンフレッチェ広島を3-0で下し、弱小クラブに初タイトルをもたらした。

 96シーズンも開幕からベンゲル監督に率いられた名古屋は、上位争いを繰り広げる。第8節では前年勝てなかったV川崎も撃破。初のリーグタイトル獲得へ向け、後半戦に向かおうとしていた。

 しかし欧州でも実績のある若き名将を、欧州のビッグクラブが放っておくはずがなかった。夏にアーセナルからオファーが届くと、ベンゲル監督はシーズン半ばにも関わらず欧州復帰を決断。96年9月28日に瑞穂陸上競技場で行った柏レイソル戦を最後に、日本を去った。その後のアーセナルでの実績は語るまでもなく、22年間の長期政権で大成功をおさめることになる。

 ベンゲル監督が去った名古屋は、96年のリーグ戦は2位。その後、名古屋は2010年にリーグ優勝を成し遂げたが、今でもベンゲル監督が率いた時代が、名古屋の黄金期だったと振り返るサポーターも少なくない。

 “前所属名古屋”。この経歴は“元名古屋”になるが、名古屋サポーター、そしてベンゲル監督に魅了された日本のサポーターにとって、これからも誇りであり続けることに変わりはない。
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